日本の歴史江戸時代

日光東照宮とは?徳川家康を祀る神社の歴史と見どころをわかりやすく解説

厳かな「参道」と日本最大級の「大鳥居」

日光東照宮というと、まず豪華絢爛な陽明門が思い浮かびます。もちろん陽明門も見どころのひとつですが、日光東照宮を訪れる機会があったら是非ゆっくり散策していただきたいのが、杉並木が美しい、長い長い参道です。凛とした空気が漂っていて、心現れる厳かな参道。気持ちが高まります。

参道の先には、石造りの巨大な鳥居が鎮座。日光東照宮の石鳥居(一ノ鳥居)は重要文化財にしていされている貴重な鳥居です。

造営されたのは1618年。あの黒田長政によって奉納されたものと伝わっており、福岡で切り出した巨石を日光まで運び、積み上げて造営したもの。400年の時を経て、今なお日光東照宮の正門として静かに佇んでいます。

高さおよそ9.2メートル、柱間は6.7メートル、柱の太さは直径3.6メートルにもなる巨大石鳥居。京都の八坂神社の鳥居、鎌倉の鶴岡八幡宮の鳥居とともに、日本三大大石鳥居と呼ばれいます。

豪華絢爛!日光東照宮の象徴「陽明門」

日光東照宮の中には8つの国宝がありますが、一番の見どころといえばやはり陽明門でしょう。

平成の大修理を終え、2017年に美しく蘇ったその姿は、これからも多くの人々を魅了し続けていくはずです。

世界の観光スポットの中には、期待値が高いせいか「直に見てみたら思ったより小さかった」「写真で見たほうが豪華に見える」と言われてしまうものも多々あります。しかし陽明門は別格。「豪華絢爛」とあらかじめ聞いていても、実際に見るとその豪華さにしばらく心奪われてしまう、という人も少なくないようです。

1617年当時は、銅屋根の楼門だったそうですが、家光による大改修によって現在のような門になりました。

圧巻は門を彩る508体もの彫刻の数々です。大量の金箔が使われており、目にも鮮やか。江戸時代の技術を結集して作られた芸術作品と言っても決して言い過ぎではないでしょう。

見きれない!数えきれないほどの彫刻群

細かい装飾を施した美しい彫刻があるのは陽明門だけではありません。

日光東照宮にはそこかしこに、総数5000点以上もの彫刻が点在しているのです。

すべて江戸幕府の命のもと、日本の大工たちによって造られたものばかりですが、その題材は多種多様。なぜか麒麟や龍、唐獅子など想像上の動物(霊獣)や、中国の子供(唐子)などがモチーフになったものが多いのです。

こうした彫刻で彩られているところも、日光東照宮の人気のポイント。日本の神社とは思えない不思議な雰囲気が漂っています。

小さな彫刻ひとつひとつにもストーリーが感じられて、一日見て回っても見きれないほど。訪れた観光客たちに「日光東照宮、また行きたい、何度でも訪れたい」と言われるのもわかるような気がします。

絶対見たい「三猿」「想像の象」「眠り猫」

数ある彫刻の中でも、とくに有名なのがこの3つ。完全な立体というより壁に備え付けられたレリーフのようなもので、大きさも思ったより小さい。見逃さずにしっかりチェックしておきたいところです。

まず「想像の象」。参道から石鳥居をくぐり、表門を入った先にある「三神庫」で、狩野探幽作といわれる2頭の像を見ることができます。金色の牙、長い鼻、大きな耳、太い脚。実際に象を見たことがない状態で想像で作成したということで「想像の象」と呼ばれています。

次に「三猿」。神様に奉納する馬(神馬・しんめ)のための施設「神厩舎(しんきゅうしゃ)」。表門から続く石畳を歩いて左側に建つ、一見地味な感じの建物の外壁に、あの有名な「みざる・いわざる・きかざる」がいます。

日光東照宮の「三猿」は、実際には8体のサルのレリーフのうちの3つ。生まれてから亡くなるまで、サルの一生を8つの彫刻で表しています。サルたちはいずれも表情豊か。ひとつひとつ時間をかけてじっくり見たくなる彫刻群です。

「眠り猫」は江戸彫刻界のカリスマ・左甚五郎による作品と伝わっているもの。回廊の上にちょこんと座って眠っています。2016年、修復のためにいったん外され、きれいになって元の位置に戻されました。

併せて巡りたい「二荒山神社」と「輪王寺」

ユネスコ世界遺産には、日光東照宮だけでなく、「日光の社寺」という題目で、二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)と輪王寺(りんのうじ)も一緒に登録されています。

二社一寺、それほど離れてはいませんので、日光東照宮を訪れた際には是非、二荒山神社と輪王寺を巡るルートも押さえておきたいところです。

二荒山神社は767年、勝道上人が建てた神社といわれています。日光東照宮が建てられた後は、徳川幕府によって本殿が改修され、多くの人が訪れるようになったのだそうです。

輪王寺も同じく勝道上人によって開かれた寺。明治維新後は神仏分離令などに翻弄され、本殿の移転や改名を余儀なくされますが、数年後「輪王寺」という名に戻すことが許されます。

ご本尊は阿弥陀如来や千手観音など。また、輪王寺には日光東照宮を大改修した徳川家光の墓所があります。日光東照宮を参拝する前に是非、輪王寺へもお立ち寄りください。

まるで別世界!歴史を感じながらじっくり巡りたい「日光東照宮」

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家康のお墓はどこにあるのかというと、日光東照宮に埋葬されていると思われがちですが、遺体はまず久能山に埋葬されています。その後日光に改装されましたが、遺体を移したわけではなく、分骨したわけでもなさそう。そんなことをしていたら、もっと大がかりな史料が残っていそうなものですし、おそらく、日光には魂だけを移したのだろうと考えられています。神様として家康を祀り、天下泰平を願ったとされる日光東照宮。そう思いながら巡ると、感慨深いものがあります。

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