キリスト教の宗派「プロテスタント」とは?誕生の歴史など元予備校講師がわかりやすく解説。
イギリス国教会(聖公会)とメソジスト派
16世紀の中ごろ、イギリスではテューダー朝が王家として君臨していました。1534年、国王ヘンリ8世は、イギリスの教会は国王をトップ(首長)とする首長令を定めます。首長令の制定後、国王は教皇の絶対的力を否定。教会人事や教会領などを管理しました。
ヘンリ8世によって作り出されたイギリス国教会は、エドワード6世が制定した一般祈祷書やエリザベス1世が制定した統一法などによって宗派としての形が出来上がります。こうして出来上がったイギリス国教会はアングリカン=チャーチともよばれますね。
18世紀、イギリスではジョン・ウェスレーがメソジスト派を起こします。ウェスレーは規則正しい生活方法(メソッド)を推奨し、人々に正しい生活を送ることをすすめました。
メソジスト派はミッションスクールや病院の建設、社会福祉活動、日曜学校などにも熱心に取り組みます。メソジスト派はアメリカで信者が多いのも特徴ですね。
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現在のプロテスタント
ルターによる宗教改革から500年以上の時を経た現在。プロテスタントたちはどのように行動しているのでしょうか。500年前に袂を分かったカトリックとプロテスタントには、様々な違いが生まれています。また、結婚式や葬儀といった宗教観が表面に出やすい場面で、プロテスタントはどのようにふるまうのでしょう。現在のプロテスタントについて、みてみましょう。
カトリックとプロテスタントの違い
カトリックとプロテスタントには様々な違いが存在します。その一つが、信仰に対する考え方。カトリックにおいてもっとも推奨されるのは善行です。
人々は生まれながらの罪(原罪)を負っていると考え、巡礼や寄付、ボランティアといった善き行いをすることにより、救済されると考えました。
プロテスタントにおいて、人々を救うのは善行ではなく信仰であると考えます。聖書の言葉に従い、神への信仰心を高めることこそが救済への唯一の道であると考えました。
カルヴァン派の系統では、労働は神によって定められた「予定」の一部であるため、労働によって蓄財することは罪とされません。
専門の聖職者階級を置くかおかないかという点でも違います。カトリックではローマ教皇を頂点に、大司教、司教、司祭といった聖職者が教会で儀式を行いました。
プロテスタントは、すべてのキリスト教信者は祭司者であるとします(万人祭司主義)。牧師はあくまでも教育者として信徒を指導すると考えました。
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プロテスタントの結婚式
教会で上げる結婚式のことを教会式といいました。カトリックの場合、初婚でかつキリスト教徒というのが、結婚式の要件となります。しかし、プロテスタントの教会では他の宗派の人でも結婚式を挙げることが可能ですよ。
結婚式を進行させるのは司祭ではなく牧師。バージンロードは白であることが多く、カトリックに比べると簡素な印象です。
バージンロードの正面に見える十字架も、カトリックとプロテスタントで違いますよ。カトリックの場合、十字架と、磔刑にされたイエスが組み合わされた像が安置されていますが、プロテスタントの場合、十字架には何もついていません。
よく聞かれるのは、ホテルなどにある「チャペル」は、カトリックなのか、プロテスタントなのかということ。ホテルのチャペルは、「教会式の結婚式場」というだけで、カトリックでもプロテスタントでも利用可能な施設です。
プロテスタントの葬儀
結婚式が人生の新しい旅立ちだとすれば、葬儀は、来世への旅立ちといえるでしょう。プロテスタントの信者が危篤になると牧師を召喚。牧師は神への祈りを捧げつつ、臨終間近の信者にパンとワインを与える聖餐をおこないます。
信者がなくなると、できるだけ早く、牧師立ち合いで納棺し葬儀へと移行。プロテスタントの葬儀の中心にいるのも牧師ですね。遺体を収めた棺が教会に入ると、牧師による聖書の朗読が行われます。牧師が祈祷しているとき、参列者は黙とう。
参列者一同で賛美歌を歌った後、牧師による故人の略歴紹介や説教が行われることでしょう。牧師の説教後、牧師による告別の祈りが行われ、参列者による賛美歌と続きます。
式がある程度進むと、参列者は死者に対して献花。これは、仏式の葬式でお焼香をするのに似ています。