平成日本の歴史

リーマンショックを引き起こした「サブプライムローン」とは?わかりやすく解説

劣化した証券化商品

それらの証券化商品を販売し、自らも巨額の投資をしていたのがアメリカの大手金融機関でした。

アメリカでは、1929年の世界恐慌後、1933年にグラス・シティーガル法が成立しています。恐慌の経験から金融機関が銀行、証券会社、生命保険会社などを系列化してグループとして営業をおこなうことをグラス・スティーガル法で禁じていました。しかし、それも1980年代からのアメリカ景気の停滞の中で規制緩和として法律による禁止は撤廃されたのです。

そのために、アメリカの大手金融機関はグループのなかにそれらの業態の違う会社をいくつも持つようになっていました。証券化商品を作る投資銀行があり、その商品をグループ内の証券会社や商業銀行が販売し、さらにグループ内の生命保険会社が巨額の投資をするという錬金術をおこなったのです。

商品化商品は世界中で売られ、破綻の影響は世界規模で経済を破壊した

image by iStockphoto

そのため、証券化商品が本当に劣後(内容の劣化)するとそれはアメリカの大手金融機関を直撃したのです。さらに、外部の機関投資家なども投資した債権が不良債権となったことで欧米や日本では景気停滞に拍車がかかりました。

そしてそのピークに起こったのがリーマン・ブラザースの破綻だったのです。これによって金融危機が生じ、各国の中央銀行は金利を引き下げ、政府は緊急経済対策を打って、恐慌の再来を防ごうとせざるを得なくなりました。

これは、現在新型コロナウイルスによって、世界的に経済危機に直面して各国政府がおこなっている経済対策と似たようなものです。今回でも株式市場では、株価を悲観した投資家の株式売却で大きく下落して、取引停止がおこなわれていますが、それと同じことが起こっていました。

サブプライムローンの問題点とは

image by iStockphoto

このように世界的な経済危機であるリーマンショックをもたらしたサブプライムローンには、どのような問題点があったのかを見てみます。

不動産価格の上昇をあてにした住宅ローン

基本的にサブプライムローンは、本来返済力の乏しい低所得者を対象とした住宅ローンで、もともと延滞率も高いローンでした。ただ、日本のバブル期と同様、アメリカの不動産価格は上がり続けており、最初は焦げ付くことは少なかったのです。

それは日本の不動産価格のバブル化と同じ構造

日本のバブル期以前も不動産価格には右肩上がり神話があったように、アメリカでも不動産価格は上がり続けるという神話が存在したのです。そのために、本来は住宅を買えないような世帯がサブプライムローンを利用していました。

本来、預金を預かる貯蓄銀行などは手を出してはいけなかったのです。しかし、通常よりも高い金利で貸せ、焦げ付いても担保となっていた住宅を売却すれば融資金を回収できたために多くの貯蓄銀行が手を出してしまいました。

アメリカの貯蓄銀行は、日本の第二地方銀行(かつての相互銀行でそれ以前は無尽と呼ばれた)と似た存在で、規模の小さな地域の金融機関で、多くの貯蓄銀行が破綻しました。

サブプライムローンを利用した証券化の破綻と現代社会

image by iStockphoto

このサブプライムローンを利用した巨大な金融派生商品である証券化商品は、まさに現代の錬金術といえました。高度な数学的な技術を駆使して、誰も中身がわからなくして格付が高いからと根拠も希薄なまま、販売していたといえます。

そして、その片棒を担いだのが、有名格付会社だったのです。多くの投資家が破綻した中で格付会社は、投資は自己責任でおこなうものとして、以降は取り扱わなくなったものの、何の責任も持たず、大きな批判を浴びたのでした。

しかし、その格付会社は、サブプライムローンの証券化はおこなわなくなったものの、現在でも債権分野では重要な格付を恥じることなくおこなっています。

サブプライムローンを利用した金融派生商品は無くなりました。しかし、依然として金融市場では、実体のない多くの金融派生商品が多く販売され、金融経済は実体経済から大きく乖離したままになっています。すなわち、私たちの現代社会はバブルの中にいるといえるのです。

次のページを読む
1 2 3
Share: