アメリカの歴史独立後

秘密結社「クー・クラックス・クラン(KKK)」とは?白人至上主義の暴走をわかりやすく解説

地獄絵図の日常、残虐な凶悪極まりな犯罪

この第2のKKKは、南北戦争後に誕生した第1のKKKよりもさらに凶悪で残虐なものでした。強姦に殺人、放火、そのやり方も凄惨を極め、しかも日常的に行われていたのです。ほとんど地獄絵図ですね。しかしKKKは勢力を拡大、それに気を良くしてさらに凶悪な犯罪を繰り返したのです。

決定的な出来事が起こったのは、1925年。ドイツ系アメリカ人(つまり白人)の女性を、KKKの指導者デビッド・カーチス・スティーブンソンが強姦。その上生きながらに彼女の肉体をかじりとって食し、半月近く極度の苦痛と絶望に陥った女性を自殺にまで追い込んだのです。食肉の傷跡の細菌感染症と、服用した塩化水銀により亡くなった女性は息を引き取る寸前に犯行を証言、告訴状にサインしました。

判決は当然ですが、強姦と殺人で有罪判決。人種も性別も何もかも超えて、心あるアメリカ国民が怒りを覚えないはずがありません。当初はKKKに対して有効的な政治家も多数いたものの明らかな犯罪、法律違反を堂々と繰り返すテロリスト集団に対して、厳しい対処が下されます。この事件が露見した1930年ごろには、求心力を失って一気にこの秘密結社は崩壊しました。

第3のKKK、そして現代へ

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時代を現代に移しましょう。第2のKKKが崩壊した後の第二次世界大戦では、第一次世界大戦の時よりもさらに国家総動員体制での戦争。国全体が人種の別なく一体となる必要がありました。黒人も有色人種も白人も、一丸となって戦い、そして破壊を繰り返したあとに「平和」が強く求められたのです。そんな悲惨な戦争から70年以上が経過した今、アメリカは、そして世界は何を見つめているのでしょうか。

戦後、そして現在のKKKの姿は……?

第3のKKKとして活躍しはじめたメンバーは、アメリカ南西部で労働者階級を主体として復活。しかし非常に弱く統率力のない団体でした。それでも1964年にミシシッピー州フィラデルフィアでKKKが地元警察と結託して、公民権運動家3名を謀殺。黒人にも平等な選挙権を与えることを主張し後にそれが実った公民権運動、その大きなターニングポイントとなった事件でした。後に警官を含む21名が、FBIによる対KKK作戦の結果、逮捕されています。

人間の認識というものは変わるものです。繰り返された暴力と、非人道的・非倫理的な行動によって、逆に白人の方が野蛮人ではないかという向きの考えすら出てきました。2009年にはアメリカ初の黒人大統領バラク・オバマ氏が当選。「Yes,We Can !」のフレーズは世界中を高揚させました。「黒人のオバマさんが大統領になったら、有色人種への風当たりがちょっとやさしくなった」とも言われています。

しかしKKKは現在も存続しているのです。2007年には、かつてKKKにより迫害されたユダヤ人による団体「名誉毀損防止同盟(ADL)」が「KKKの活動範囲が広がっており、ネオナチグループと手を組んでいる」と述べる報告書を出しています。排外主義が加速すると言われる21世紀の世界で、KKKやネオナチの存在は、西洋にとって過去のトラウマをよみがえらせる恐怖なのです。

差別は宿命?現在も続く差別の正体とは

最後に身もふたもない話をしてしまいましょう。白人優越思想に根拠や理由はあるのでしょうか?結論から言えば、別に白人が優越人種であるという科学的根拠は……ないという説もあり、あるという説もあります。科学的にも白人はエライ!と言っている学者が白人ばかりなので、この辺微妙なところ。しかし白人社会が異常なほどの情熱で、技術や思想を体系立て進歩させてきたのは事実です。世界を発展させてきた文明人は白人だった、というのが彼らの誇り。世界をリードするのは今も昔も白人世界である、と。

この主張、もう、どこからツッコんだらいいかわからない!世界発展に寄与した「四大発明」である羅針盤・紙・火薬・印刷技術のすべてが、古代中国で完成。鎖国時代の日本では識字率90%(同時代、産業革命時代のイギリスは10%)パックス・ロマーナより長い平和が実現。インカ帝国だってアステカ帝国だって、負けたのは遠距離攻撃のための武器・弓矢がなかったから。イスラム世界では医学や化学が大発展していました。みんなすごいのです。白人至上主義、ないし人種主義は明らかに視野の狭い世界の見方でしょう。

しかしKKKの姿は、白人のみならず私たち人類全体への警告ではないでしょうか。排外主義からの暴力は、単純に「○○人のアイツはイヤだな」という嫌悪感から、自制しなければ悪口・バッシングから始まり、いじめやハラスメント、そして……と簡単に広まってしまいます。その最終的な到達点は、ナチスのホロコーストであり、KKKの恐怖の犯罪行為であるのかもしれません。暴力が何も生まないのは、KKKの歴史が証明しています。

嫌悪からの暴力、そして必ず見放される人種差別主義者たち

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日本は世界的に見てけっこう平和な国だからか、なぜ人種差別がそこまで過激になるのか不思議でたまらなくなるときがあります。差別はその時代時代で、自分のコミュニティを守るために生まれる概念や行動です。最初は恐怖や嫌悪を感じて暴走したものの、凶悪化がこうじて社会から見放される。KKKそして白人至上主義はこのサイクルを繰り返しています。人類は完全に平等な社会というものに夢をいだき続けますが、それは果たしていつ訪れるのでしょうか。

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