中国の歴史

世界最大の木造建築群「紫禁城(故宮)」とは?歴史や見どころをわかりやすく解説

どれくらい広いの?巨大宮殿・紫禁城の見どころとは

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歴代皇帝の居城として長い歴史を持つ紫禁城。現在は宮殿としてではなく、博物館を含む巨大観光地として多くの人に親しまれています。ベルサイユ宮殿、バッキンガム宮殿、ホワイトハウス、クレムリン宮殿とともに「世界五大宮」と呼ばれることもあるのだそうです。次に、紫禁城(故宮)の見どころをご紹介いたします。

とにかく広い!紫禁城の基本情報

紫禁城の面積はおよそ72万平方メートル。東西753メートル、南北961メートルの長方形の敷地は大きな堀に囲まれ、高さ10メートルの城壁に囲まれています。

72万平方メートルというと東京ドーム15個分ほどの広さ。京都御苑の広さが65ヘクタール(65万平方メートル)ということなので、それよりひとまわり広いことになります。城というよりもはや、これは一つの街です。

城壁の南側に正門があり、城壁の中に入るとたくさんの建物が連なり、部屋の総数は9000にもなるとか。

堀の外側、南側に敷地が広がっており、その先に、ニュース映像などでよく目にする、毛沢東の肖像画掲げられた天安門があります。

中国の歴史を見守る巨大門・天安門

天安門とは、紫禁城の第一門として、宮殿の南側にそびえる巨大な門です。

明王朝の永楽帝の時代は「承天門」と呼ばれていましたが、何度か焼失。清王朝初期の頃に再建されて「天安門」と呼ばれるようになりました。

紅墻と呼ばれる高さ12メートルの赤い城壁の上にそびえたつ二層の楼閣。門というより、これ自体が石垣の上に築かれた宮殿のようです。中央には毛沢東の肖像画がかけられ、左右に「中華人民共和国万歳」「世界人民大団結万歳」というスローガンが刻まれています。

天安門の前には川が流れ、白い橋がかかっており、その前には天安門広場と呼ばれる東西500メートル、南北880メートルという広大な広場が。50万人以上もの人を収容できるといわれており、幾度となく歴史上の事件の舞台となってきました。

北京オリンピックのときはマラソンのスタート地点にもなったスポットです。

世界最大級の城門といわれる正門・午門

紫禁城の正門は天安門かと思われがちですが、天安門は堀の外にある第一門。正門は午門と呼ばれ、城壁の南側に位置しています。

天安門の大きさに圧倒されながら先に進むと、さらに巨大な、コの字型に組まれた紅墻の壁が出現。圧巻の大きさです。

城の南側、午(うま)の方角にあることから、このような名前が付けられました。

門の柱や二層の楼閣ははるか頭上。桁違いのスケールです。

気分は「ラストエンペラー」・太和殿

「太和殿(たいわでん)」は、現存する中国最大の木造建築といわれる巨大建造物です。

とにかく大きい。紫禁城のほぼ中心部に位置する太和殿は、永楽帝が最初に紫禁城を建てたときからこの場所に存在していました。何度か焼失したため、現在の建物は清王朝時代の17世紀末期に再建されたものなのだそうです。

まず目に飛び込んでくるのが、建物の前に築かれた白大理石製の三段の基礎。その上に大きな屋根を備えた建物がそびえたっています。

基礎も含めた高さは35メートル。横幅は63メートル、奥行きはおおよそ33メートル。かつてここで、宮中の様々な行事や式典が行われました。

紫禁城全体を見渡したいなら・景山公園

紫禁城の敷地内ではありませんが、北側の門を出たところにある公園からの景観は絶品。紫禁城の広さ、美しさを体感したいならぜひ立ち寄りたいスポットです。

公園、というより、高さ40メートルほどのこんもりとした小山のような場所。展望台から見る紫禁城は見逃せない、ということで、多くの観光客でにぎわいます。

この公園の歴史も紫禁城と同じくらい古く、もともとは永楽帝が造営した人工の山でした。紫禁城に悪い気が入らないよう、風水の背山面水という考え方を形にしたものと考えられています。

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