ギリシャヨーロッパの歴史

占いでお馴染み!黄道十二星座にまつわる神話が知りたい!

7)天秤座(てんびん座:Libra)

ここまで、動物や人間に関する神話が続きましたが、ここで突然、道具を象った星座が。この「てんびん」とは、先ほどちらっと登場した正義の女神アストレイアが持っていた、人の善悪を裁くための天秤であると考えられています。

ギリシャ神話の世界では、はじめ、大地には多くの作物が実り、神々も地上に降りて、人間とともに争いごとなく平和に幸せに暮らしていました。

しかし神々の戦いが起こり、ゼウスが大神として君臨するようになると、地上にも変化が。人々は競争しあうようになり、貧富の差が増し、戦争が起きるようになって腐敗。人間に愛想をつかした神々は天界へ行ってしまうのです。

アストレイアは地上に残り、何とかしようとしますがどうにもなりません。アストレイアもやがて、天界へ。そのとき手に持っていた天秤が星座になったと考えられています。

8)蠍座(さそり座:Scorpio)オリオンを殺した毒さそり

12星座の中では比較的見つけやすい、アンタレスという赤い恒星を中心に構成されるさそり座。やはり見つけやすいオリオン座と対に語られることが多い星座です。

オリオンは強く美しく勇敢な狩人。いい気になって「自分が一番強い」と自慢して回っていたため神々を怒らせてしまいます。女神ヘラに送り込まれた巨大毒さそりがオリオンを強襲。さすがのオリオンも毒針には勝てません。足を刺されたオリオンは命を落としてしまいます。

オリオンを倒した功績で、このさそりは星座に。一方のオリオンも、哀れに思った女神アルテミスの尽力で天に上がって星座になりました。でも、過去の因縁のせいか、さそり座とオリオン座が天球に現れることはないのだそうです。

9)射手座(いて座:Sagittarius)弓を引いているのは誰?

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射手座とは、誰かが弓を引いている様子を表したもの。その歴史は古く、ギリシャ神話の他にも数々、射手座のもとになったと思われる伝承が存在しています。

ギリシャ神話では、半人半馬のケンタウルス族のケイロンがモデルであるという説が一般的です。

ケンタウロス族は非常に野蛮な種族でしたが、ケイロンだけは違いました。学問もできて医学の心得もあり、多くの人を助けながら暮らしていたのだそうです。そんなある日、ヘラクレスが放った毒矢が間違ってケイロンに命中。ケイロンは痛みに苦しみながら亡くなり、やがて天に上げられ星座になったと伝わっています。

10)山羊座(やぎ座:Capricorn)しっぽだけ魚形の奇妙なヤギ

ヤギは古くから人間と深いかかわりのある動物。古代の伝説や神話にはヤギが登場する話がたくさんあります。やぎ座は、ギリシャ神話のパンという牧畜の神様がモデルになっているという説が有力です。

ある日、神々が川沿いで宴会をしていました。そこへ突然、世界最強の怪物といわれるデュポンが現れます。神々は驚いて、各々何かしら動物に姿を変えて散り散りに逃げていったそうです。

パーンは魚に変身して川に飛び込んで逃げようとしましたが、慌てすぎていて失敗。上半身はヤギ、下半身は魚という、おかしな姿に。この姿が結構ウケて、やがて星座になったといわれています。

11)水瓶座(みずがめ座:Aquarius)天に召喚された美少年

天秤に続いて、2つ目の「道具」が登場です。

ギリシャ神話では、羊飼いの美少年ガニュメデスが持っていた水瓶であるとされています。

ここにもまたゼウスが登場。美しい少年を自分のそばに置きたいと、今度はオオワシに化けてガニュメデスを誘拐します。全知全能の神、節操なしです。

ゼウスはガニュメデスを大切に扱いましたが、地上に残された両親の悲しみは想像をはるかに超えるものでした。心を痛めたゼウスは、神々の食卓に酒を注ぐガニュメデスの姿を星座にして天に。両親がいつでもガニュメデスを思うことができるようにしたと伝わっています。

12)魚座(うお座:Pisces)美の女神が魚の姿に?

黄道十二星座の最後を飾るのは魚座です。

この星座には、美の女神アフロディーテの神話が最もよく伝えられています。

アフロディーテとその子供エロスが川沿いを散歩しているところに、突然あの最強怪物デュポンが出現。驚いたアフロディーテとエロスは川に飛び込み、ニンフたちに助けを求めます。ニンフたちは二人を魚の形に変えて避難させたのだそうです。

そのときの二人の姿が星座になったと伝わっています。

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