その他の国の歴史中東

ハンムラビ法典や占星術を生み出した「メソポタミア文明」とはどんな文明?わかりやすく解説

楔形文字の使用とギルガメシュ叙事詩

シュメール人の編み出した楔形文字は、様々な出来事を記録するために使われます。楔形文字は粘土板に刻まれ、記録は長期にわたって保存することが出来ました。

シュメールの都市ウルクで発掘された楔形文字の粘土板には、家畜や奴隷の数、物品や穀物の数量、土地の面積などが書かれていました。楔形文字の解読が進むと、行政や商業の記録だけではなく、伝説・伝承などを記した粘土板も解読されるようになります。

その代表がギルガメシュ叙事詩でした。主人公のギルガメシュは都市国家ウルクの王でした。ギルガメシュはエンキドゥという友とともに苦難を乗り越えます。ギルガメシュの物語にはさまざまな魔物と戦うシーンや大洪水に巻き込まれる場面があり、現代人が読んでも楽しめる内容ですよ。

ハンムラビ法典の内容とは

ハンムラビ法典はメソポタミアを統一した古バビロニア王ハンムラビが定めたとされる法典。ハンムラビ法典はそれ以前に存在したシュメールの法典類を受け継いだものだと考えられます。

条文は全部で282条。目には目を、歯に歯をという復讐法の原則が有名。他にも、身分の上下によって刑罰が異なる身分法の規定や、犯罪が過失なのか意図的に行われたかによって刑の重さが異なる点などが特徴的です。

このハンムラビ法典が刻まれた碑文が発見されたのはペルシアの古都スサ。かつて、バビロンにあったハンムラビ法典の碑文が、バビロンを征服したエラム人によって戦利品としてスサに持ち込まれたと考えられます。

法律が作られることで、社会のルールが守られるようになり、法を制定した王の権威が高まりました。

古バビロニア王国滅亡後のメソポタミア

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解放的な地形のメソポタミアは、支配する勢力が次々と入れ替わる激動の地でもありました。古バビロニア王国はハンムラビ王の死後、急速に衰退。かわって、カッシート人やヒッタイト人がメソポタミアで勢力を拡大しました。その後、強大な軍事力を背景にアッシリアがメソポタミアを統一。アッシリア滅亡後の4国分立時代を経て、アケメネス朝ペルシアによる再統一でオリエントは安定時代を迎えます。

カッシートやヒッタイトの台頭

紀元前16世紀、カッシートと呼ばれる人々がメソポタミアに登場します。カッシート人はバビロンを中心とするメソポタミア南部を約350年間にわたって支配しました。

オリエント全体でみると、小アジアには鉄器を使うことで強大化したヒッタイト人、メソポタミア北部にはアッシリア人、現在のシリアやイラクにあたる山岳地帯にはミタンニ人、エジプトにはエジプト新王国が存在します。

カッシート人の王国は紀元前1155年に西方のエラム人の侵入により滅亡。ヒッタイトやエジプト新王国は海の民の侵入を受け、ヒッタイトは滅亡、エジプト新王国は弱体化します。こうした混乱状態の中、着実に力をつけていたのがメソポタミア北部にあったアッシリアでした。

アッシリアによるオリエント統一

アッシリア人はメソポタミア北部のアッシュールを拠点として王国を築いていました。当初は山岳地帯のミタンニ王国の支配を受けますが、ヒッタイト滅亡後に鉄器や戦車、騎兵隊の技術を会得し強大な軍事国家へと成長します。

紀元前8世紀の中ごろ、アッシリアは積極的に領土を拡大。周辺地域を征服しアッシリアは帝国へと変貌します。紀元前732年にシリアのダマスクスを占領、紀元前729年にバビロンを占領しメソポタミアを統一。紀元前663年、アッシュール=バニパル王はエジプトを征服しオリエントを統一しました。

アッシリアは抵抗した国や民族を徹底的に破壊・虐殺し、恐怖によって支配します。そのため、支配された民族の反抗が後を絶たず、次第に国力が衰退しました。

アケメネス朝ペルシアによるオリエント支配

アッシリア帝国の滅亡後、オリエントは4王国に分かれました。小アジアを支配したリディア、ペルシアを支配したメディア、メソポタミアを支配した新バビロニア、エジプトの末期王朝の4王国です。バビロンを復興させたネブカドネザル2世は新バビロニアの王でしたね。

四国の一つ、メディアに支配されていたペルシア人がメディアから自立しアケメネス朝ペルシアとして勢力を拡大。紀元前550年にキュロス王がメディアを滅ぼすと、リディア、新バビロニアも相次いで征服。キュロスの後を継いだカンビュセス2世は紀元前525年にエジプトの末期王朝を滅ぼしオリエントを再統一しました。

オリエントを統一したアケメネス朝ペルシアはダレイオス1世の時代に最盛期を迎え、200年以上にわたってオリエントを支配する大帝国として君臨します。

 

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