イタリアヨーロッパの歴史

メディチ家とは?ルネサンスを支えたフィレンツェ名門一族の歴史と足跡

シンプルかつゴージャス!サン・ロレンツォ教会

メディチ家を象徴する建造物ですが、創建は4世紀末頃でフィレンツェ最古の教会の一つとされています。

長い歴史を持つフィレンツェらしく、幾度となく改増築が繰り返され、現在残っている建物はメディチ家によって15世紀前半に築かれたものなのだそうです。この建築にはミケランジェロなど時代の先端を行く名だたる芸術家たちが参加しています。

メディチ家ゆかりの教会ということで、豪華絢爛・贅の限りを尽くした黄金に輝く様子を想像する人も少なくないようですが、外観は粗削りな茶色い石造りで意外にシンプル。ファザード(建築物の正面部分)は未完成のままなのだそうです。

メディチ家の当主たちは代々、この教会の改築にかかわってきました。外観は簡素な印象ですが、内部は白壁に金があしらわれており、数々の絵画が贅沢に飾られていて「さすがはメディチ家」といった雰囲気にあふれています。

メディチ家代々の当主が眠る「メディチ家礼拝堂」

サン・ロレンツォ教会付属の「メディチ家礼拝堂」も、メディチ家ゆかりの建物として見逃すことのできないスポットです。ここには、メディチ家代々の当主たちが静かに眠る墓所があり、一族の栄光と繁栄をしのぶことができます。

教会の裏手に覗くひときわ高い、丸い屋根を持った一風変わった建物は八角形。高さ59mの巨大建造物は「君主の礼拝堂」と呼ばれ、フィレンツェのランドマークにもなっています。

外観はシンプルですが実に豪華。内装の大理石は特に美しく見る者の目を奪います。着工は17世紀に入ってからですが、落ち着いた色合いの荘厳な装飾の数々は、100年以上もの歳月をかけて少しずつ丁寧に築かれた傑作。一見の価値ありです。

メディチ家礼拝堂にはもうひとつ、「新聖具室」と呼ばれる建物が続いています。かのミケランジェロが設計した、巨大な彫刻が施された荘厳な建造物です。

躍動感あふれる力強い人体像が数多く造られでおり、まさにミケランジェロの真骨頂といった雰囲気。霊廟であるためか、少し憂いだ表情が何とも印象的で、見るものを圧倒します。ミケランジェロに興味をお持ちなら、時間をとってゆっくり鑑賞するのがおすすめです。

名画に囲まれて「パラティーナ美術館(ピッティ宮殿)」

メディチ家がどれほどの富を持っていたか知るには、所蔵品を見るのが一番でしょう。

フィレンツェにはたくさんの美術館がありますが、メディチ家の足跡をたどるなら「パラティーナ美術館」は外せません。

フィレンツェの中心地から少し離れた、街中を流れるアルノ川の対岸にある、広大な敷地を持つピッティ宮殿。パラティーナ美術館はこの宮殿の中に位置しており、「ピッティ美術館」とも呼ばれています。

ピッティ宮殿は、メディチ家とライバル関係にあったピッティ家が設計・施工した建物で、後ににメディチ家が買い取ったという超巨大建造物です。現在では、周囲を取り囲む庭園とともに、世界遺産にも指定されています。外観は、アーチ型の窓が整然と並んだシンプルなデザイン。使われている石はどれも美しく、物静かで優雅な佇まいに圧倒されます。

宮殿と庭園を散策するだけでもかなり見ごたえがありますが、パラティーナ美術館の館内に一歩足を踏み入れると、内装の豪華さに再び圧倒されること間違いなしです。

ラファエロの『大公の聖母』やルーベンスの『4人の哲学者』、ティツィアーノの『悔悛するマグダラのマリア』など、美術の教科書に載っているような、ルネサンスを代表する名画美術品がずらり。メディチ家の財力の豊かさを垣間見るとともに、フィレンツェの芸術家たちとのつながりをうかがい知ることができるスポットです。

豪華で荘厳でミステリアス!フィレンツェ・メディチ家の歴史と歩み

image by iStockphoto

「メディチ家=大富豪」くらいの知識は持ち合わせていましたが、改めて調べてみると、その懐の深さ、権力の大きさに圧倒されてしまいました。ただの成金ではなく、才能ある芸術家たちを見出す目を持っていた……。歴代の当主たちがそれぞれ魅力的で個性豊かなところも興味深かったです。ラファエロやミケランジェロの作品も、もう一度じっくり鑑賞してみたくなりました。フィレンツェを訪れる機会があったら、ぜひ、メディチ家の歴史にも注目してみてください。

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