煎餅とおかきの違いは?ポン菓子って何?奥深い「米菓子」雑学の世界
なるほど!煎餅・おかき・あられの違い
ではここで改めて、煎餅・おかき・あられの違いについてまとめてみましょう。
それぞれ、原料となる米の違いと、大きさの違いが基本となっています。
加えて、多少、地域による違いもあるようです。大小にかかわらず、餅を欠いて作ったものはどちらも「おかき」と呼んでいる地域もあります。
また、サイズについても、厳密に大きさが決められているわけではありません。ただ、私たち消費者の間では何となく漠然と「丸いのが煎餅、ごつごつしたのがおかき、小さいのがあられ」というイメージが定着しているので、製造元の菓子メーカーでもそのように名前付けする傾向があるようです。
<煎餅・おかき・あられの違い>
【煎餅】
うるち米から作られているもの。
団子をつぶして乾燥させて焼いたものが現在の煎餅の原型とされている。だから丸いものが多い。
【おかき】
もち米から作られているもののうち、大型のもの。
鏡餅を欠いて作ったことから「欠き餅」と名付けられた。
【あられ】
もち米から作られているもののうち、小型のもの。
空から降ってくる霰に形が似ていることから名づけられた。
米菓子界のトリックスター・お米を使ったお菓子の雑学
煎餅やおかき以外にも、お米を使ったお菓子はたくさんあります。日本の稲作文化には2000年以上の歴史がありますので、お米を使ったお菓子も様々なバリエーションが存在するのです。次に、お米を使った人気のお菓子について解説します。
柿の種ってどうしてあんな形をしているの?
ついつい手が出てポリポリ……小ぶりでつまみやすいので、子供からお年寄りまで幅広い年齢層に愛される米菓子の代表格として知られる「柿の種」。おやつとしてもお酒のつまみとしても人気がある柿の種ですが、これもうるち米を原料としており、れっきとした煎餅の仲間。中にはもち米を使用した柿の種もあり、あられに分類されることもあります。
柿の種の発祥は米どころ・新潟県。1923年、長岡市にある浪花屋製菓という老舗のお菓子屋さんのおかみさんが、煎餅づくりに欠かせない金型(つぶした米を小判型に型抜きするための道具)を踏んで変形させてしまったのだそうです。
ぐにゃっと潰れて細長くなってしまった金型は、三日月のような形になってしまい、引っ張っても元に戻りません。仕方がないので、三日月型に曲がった金型で作業を続けてみたところ、柿の種によく似た形の煎餅が出来上がりました。この形が広まり、柿の種は不動の人気を誇る米菓子となっていったのです。
浪花屋製菓さんの柿の種は、現代でも変わらず人気の商品。袋入りのものもありますが、稲作風景が描かれた可愛らしい缶入りのシリーズが特に人気。元祖・柿の種ということで、贈り物にも喜ばれます。
食べ出したら止まらない!ポン菓子って何?
地域によって「ドン菓子」「ばくだんあられ」「ポップライス」など様々な呼び方があり、多くの人に愛されているお菓子「ポン菓子」。その歴史は意外と古く、さらに意外なことに、穀物を研究していたアメリカの大学の研究室での実験中の事故が発祥だといわれています。いわゆる「パフ」「パフライス」と呼ばれるアメリカのお菓子が、ポン菓子の原型なのです。
日本では大正時代頃から、祭りの露店などで人気のお菓子となっていました。美味しさもさることながら、製造工程が派手で豪快なので、縁日の呼び物としても人気が高かったようです。
その製造工程はというと、回転式の圧力釜に生米を入れて加熱・加圧。窯の中に十分に圧力が加わったところで釜をハンマーなどで叩いて空気を入れます。一気に減圧されるため釜の中の米がポーン!と大きな爆発音をあげてはじけ飛び破裂。ホカホカ熱々のポン菓子が完成するのです。このときのポーンという破裂音が、ポン菓子の語源となっています。
現代では、ポン菓子の製造を見る機会は少なくなりました。しかしポン菓子自体は健在。チョコレートをまぶした「ライスチョコ」や、オレンジ色のフィルムで包まれた駄菓子「にんじん」など、スーパーやコンビニの店頭でたくさんのポン菓子に出会うことができます。
野菜入ってたっけ?「サラダ煎餅」って何?
サラダ煎餅のサラダとは、サラダ油のことなのだそうです。
サラダ煎餅とはもち米を食材としたもので、油で揚げて塩をまぶしたものが一般的。1960年代、サラダ油がまだ高価だった頃、揚げた煎餅に塩とサラダ油を絡めて作ったのが、サラダ煎餅の始まり。和風の煎餅界に西洋の風を吹き込むべく誕生したのがサラダ煎餅なのです。
では、サラダ油とは何なのでしょう?実はサラダ油の「サラダ」も、原料の名前ではなく、香味がよく色が淡くて料理に使いやすい油を総称してサラダ油と呼んでいます。揚げ油だけでなく、塩や酢と一緒に生野菜にかけて食べたり、油を直接食する機会が増えてきたため、より良質でくせのない油が求められるようになったのです。
「サラダ」という単語には、サラダに合う油、という意味が込められています。サラダ油の成分はナタネ油やコーン油、大豆油など、主に植物由来の油です。
そんなサラダ油がまだ珍しかった時代に誕生したハイカラなお菓子「サラダ煎餅」。「サラダ=軽い」というイメージは見事に定着し、サラダ煎餅は煎餅界にはなくてはならない存在となりました。