中国の歴史

イギリスが悪魔すぎ!中国の分割を決定づけた「アヘン戦争」はどんな戦争だった?

今のご時世麻薬に厳しい世の中ですね。まあ麻薬は絶対に使用してはいけないもので世界各国で規制が進んでいますが、19世紀の世界は麻薬は規制するものではなく逆に国自体がその麻薬を売って大儲けしていたとんでもないものだったのです。そこで今回は私が思う中で一番ひどい理由で起こった戦争であったアヘン戦争について見ていきましょう。

アヘン戦争が起こるまでのあらすじ

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さて、アヘン戦争の説明をする前にまずはイギリスがどうして阿片に手を出してしまったのか?アヘン戦争かどのようにして起こっていったのかを見てみましょう。

イギリスで紅茶が大ブーム

18世紀初頭、イギリスではとある悩み事がありました。イギリスはこの頃、産業革命を達成して国力が大幅に強くなっていきましたが、その分格差は増大。ロンドンの街は工場から排出された煙で太陽が見えなくなってしまうほど環境が汚染されてしまいました。環境汚染になってしまうとどの時代でも同じようなものなんですが、まず水が飲めなくなってしまいます。環境汚染された水はヘドロでいっぱいですよ。しかし、水を飲まないと生きることはできませんからなんとかして飲む状態にしなければいけません。そんな困った時に突如としてインドや清からやってきたのが紅茶でした。紅茶があれば水を沸騰させた上で味をつけることができ、さらに砂糖も入れれば労働者に対して今で言うところのスポーツドリンクみたいな役割を果たすことができます。こんな背景があり、イギリスでは紅茶を飲む文化が定着。今に続くアフタヌーンティー文化が出来上がりました。

でもイギリスでは紅茶を作ることはできません。だって寒いですもの。しかし、ニーズには答えなければいけませんのでイギリスの会社は紅茶を大量に生産している清に対して貿易をするようになります

 

お金がどんどん流れていく!?清とイギリスの貿易摩擦

こうしてイギリスは清との貿易をしなくてはいけなくなりましたが、この頃の清はちょっと難癖がありまして、自由に貿易することができない日本と同じ鎖国状態にありました。清いわく「なんで世界の中心である大清帝国がイギリスなんて辺境の国と貿易する必要があるのか?貿易させてもらっているだけでも感謝しとけ」という感じで、清とイギリスとの貿易は清側から見たら朝貢という中国に貢ぐ形となっていたのです。

そのためイギリスと清の貿易は清が指定した公行という商人と広東港でしか貿易できず、さらにいくらイギリスが産業革命をこの頃達成させてもまだこの時は人口5億を擁する清に工業力では勝っておらず、イギリスが輸出している品物のほとんどが普通に清に出回っているものばかりでした。この頃のイギリスは紅茶のために清に対して購入しているものの、清に対して輸出できるものがなくお金がどんどん清に流れ出ていくまさに貿易摩擦の状態だったのです。

そうだ、アヘンを売ろう

貿易摩擦に悩んでいるイギリス。アメリカ独立革命やナポレオン戦争などで戦費を使いまくり、さらに国のお財布事情が寂しくなってくるとイギリスは「そうだ!インドで取れるアヘンを売ればいいじゃないか!」と国としてありえないとんでもないことを思いついてしまったのです。いやいや待て待て、アヘンといえば立派な麻薬。本来なら取り締まらなければいけません。しかし、「お金がないならモラルなんて関係ないんだよ!」とこの当時のイギリスは思っていたため、この考えを見事に採用。イギリスの植民地から取れたアヘンを中国に売りつけて紅茶を買うために使ったお金が最終的にはイギリス本国に帰る仕組みである三角貿易を行なってボロ儲けしたのでした。

アヘンってどんな麻薬?

今回解説しているアヘン戦争の名前にも残っているアヘン。このアヘンは元々ケシという果実から取れた汁を加工した薬品のことです。その歴史は意外や意外と古く古代エジプト時代から製造されていたそうです。でもこの頃の使用方法は普通に鎮痛剤として使うのみ。麻薬として使われるようになったのはアヘンをイギリスが貿易商品にするちょっと前だったそうです。もちろん今使えば立派な犯罪ですよ。

清のアヘンの取締り

アヘンを売ってウハウハなイギリス。しかし、アヘンを売りつけられた清ではアヘンが国内に蔓延。この頃人口が増えすぎたせいで生活が不安定だった人が多かったことが相まってアヘンを吸う国民が増え続けていきます。その結果清国内ではアヘンの作用に苦しめられ自暴自棄になる国民が続出。さらに貿易額も紅茶による利益よりもアヘンを買う支出の方が多くなり見事に逆転。清国内での銀が不足してデフレが引き起こされてしまいました。これを見て「これはヤベェぞ…」と思った清の道光帝はアヘンを吸った人を禁止するべきと主張する人の意見を採用し、清の中でも特に身の潔白がすごい林則徐欽差大臣というぶっちゃけ皇帝の代わりみたいな役職に任命。アヘンの取り締まりを強化していくようになります。

 

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