雛人形とは何?意味・由来・扱い方など、お雛様について知りたい!
雛人形のメンバーとは?それぞれの意味と役割を知ろう
雛人形(ひなにんぎょう)にはさまざまな種類がありますが、男雛と女雛、三人官女、五人囃子などが並んだ雛壇タイプが一般的でしょう。まずは雛壇を構成する雛人形についてひとつひとつ解説します。雛人形によっては六段、七段と大がかりなものもありますが、今回は一段目から五段目までのお人形について見ていきましょう。
一段目:内裏雛(だいりびな)
雛壇の一番上には、一段と豪華な衣裳を身に着けた男女一対のお人形が並びます。古くは左右逆だったといわれていますが、現代の飾り方では向かって左が男雛、右が女雛です。このお雛様は別名「お内裏様」「内裏雛」「親王雛」などと呼ばれます。男雛は束帯姿(公家の正装)、女雛は十二単姿が一般的です。
内裏とは、その昔、天皇が住んでいた宮殿・御所のこと。内裏雛とはもともと、天皇と皇后(広義でお殿様とお姫様)の婚礼の様子を表したものと考えられています。子供たちの幸せと繁栄を願って、華やかな宮中の様子を模した人形を飾るようになったのでしょう。
二段目:三人官女(さんにんかんじょ)
官女とは宮中で身分の高い人に使える女官のことです。三人官女は雛壇の二段目に飾られる3体一組の人形。一段目にいるお姫様(女雛)のお付きの者ということになります。お人形の形式は何通りかあり、3体とも立っているもの、中央が座っていて両端が立っているもの、中央が立っていて両端が座っているものあるようです。
顔も少しずつ異なります。中央の官女が既婚でベテラン、両端は未婚で若い官女で、中央のお人形だけ眉を小さく剃って整えてお歯黒をしているものもあるそうです。
手に持っている道具にも違いがあります。一般的には、中央の官女は三方(盃を載せる台)を両手で持ち、向かって左側は提子(ひさげ)という酒を注ぐ道具を、右側が長柄(ながえ)というお酒を注ぐ道具を持っていることが多いです。
三段目:五人囃子(ごにんばやし)
内裏雛の結婚式を表したとされる雛壇。三段目に控えるのは、婚礼の宴を盛り上げる音楽隊・五人囃子です。お人形の顔立ちはどちらかというと幼く、髪をおかっぱに切りそろえた少年たちが楽器を持って並んでいます。
手に持っている楽器もそれぞれ。並び順にも一応の決まりがあります。向かって右側から、謡(うたい)、笛(ふえ)、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓(たいこ)の順に並べるのが一般的です。手に持っているものが右から順にだんだんと大きくなっていると覚えておけば、飾るときに戸惑うこともないでしょう。
謡とは、声楽や言葉、セリフなどのこと。手には楽器ではなく扇を持っています。華やかな婚礼の席での演奏、さぞや気合が入っていることでしょう。そう思って改めて五人囃子の顔を見てみると、少し緊張しているようにも見えます。
四段目:右大臣・左大臣
五人囃子の下の段に飾るのは、随身(ずいしん)と呼ばれるお役人たちです。随身とは身分の高い人の警護をするための衛兵のことで、弓を持ち矢を背負って座っています
一般的には、向かって右側に左大臣、左に右大臣を置きます。ただ、現実の世界での右大臣・左大臣とはかなり位の高いお役人でしたので、直接警護の職に就くことはなかったようです。おひな様の中での「右大臣・左大臣」とは単なる呼び名であって役職名ではないと考えたほうがよいでしょう。
右大臣、左大臣にもそれぞれ特色があり、向かって右側の左大臣は年寄り、右大臣は若者が務めます。そう呼ばれるほど周囲から頼りにされている、ということなのかもしれません。
五段目:仕丁(しちょう・してい)
五段目あたりから、地域の慣習や人形の製作元などによって人形の種類が異なる可能性がありますが、仕丁と呼ばれる人形を3体並べるものが多いようです。
仕丁とは、内裏のお世話をする雑用係のようなもの。履物をお預かりしたり、雨の時は傘をさしたり、ほうきを手にして掃除をする役を担うこともあります。
沓台(くつだい)を持った人形を真ん中に置き、向かって左側に台傘を持った人形を、右側に立傘を持った人形を置くのが一般的です。仕丁の道具が清掃用品の場合は、向かって左が熊手、真ん中がちりとり、右がほうきとなります。関西では清掃道具版の仕丁が多くみられるようです。
また、この段の両脇に橘(たちばな)と桜の木を置くことも。向かって左側に「右近の橘」、右側に「左近の桜」を置きます。
雛人形とはいつ頃からあるの?歴史や由来について知ろう
テレビの時代劇の中に、ひな祭りやひな人形が登場するシーンもありますので、少なくとも江戸時代には存在していたのではないかと思われますが、雛人形はいつ頃からあったのでしょうか。歴史をたどれば雛人形の意味も見えてくるはず。なぜ女の子のお節句に、天皇や皇后の婚礼を模したお人形を飾るようになったのでしょう。今度はおひなさまの歴史について見ていきましょう。