神社に狛犬がいる理由とは?起源からおすすめスポットまで徹底紹介!
狛犬の正体とは?起源や歴史、名前の由来まで大調査!
初詣や合格祈願などで神社に行く機会があっても、狛犬をじっくり見た記憶はない、そんな方もいらっしゃるかもしれません。ぐっと見開いた目と大きな口、頭に角をはやしたやつもいます。実に不思議な姿をした動物ですが、名前の通り「犬」なのでしょうか。まずは狛犬たちの起源や歴史、由来について解説します。
起源は古代オリエント・インドの守護神?摩訶不思議な狛犬の歴史
狛犬は実は犬ではなく、犬や獅子に似た空想上の獣です。神社や寺院など神聖な場所を守るため、入り口の両脇や境内の各所に左右一対向き合う形で設置される守護獣・霊獣のことを狛犬と呼んでいます。
ただ、古くから誰もが知っている身近な存在であったにも関わらず、改めて研究する人が少なく、もともとどういう存在だったのかはっきりした記録は残されていないのだそうです。
神聖な場所を守るものという位置づけで考えると、その歴史は古く、数千年前に遡ることができます。
例えば古代エジプトやインド、メソポタミア、古代オリエント文明などでは、地上最強の動物とされるライオン(獅子)の像を王座や神殿を守る守護神として置いていました。エジプトのスフィンクスもそのひとつと考えられています。
日本には、飛鳥時代の頃に仏教の伝来とともに、中国(唐)を経由して伝わったようです。平安時代の文献には既に、狛犬に関する記述があります。高貴な身分の人の自宅の四方に置かれるなどして、邪悪なものから家を守る役割を担っていたようです。
長い歴史の中で、日本に渡ってきた狛犬たちは日本の地で独自の進化を遂げました。現代では、さまざまな姿の狛犬が存在しています。
狛犬の基礎知識~なぜ神社に?左右で形が違うって本当?
神社の入り口に一対になって座っている狛犬ですが、実は左と右で顔形に違いがあります。日本の狛犬とは実際には、左が狛犬で、右にいるのは狛犬ではなく獅子なのだそうです。
<日本の狛犬>
・向かって左側 狛犬 角あり 口を閉じている(吽形・うんぎょう・物事の終わりを表す)
・向かって右側 獅子 角なし 口を開けている(阿形・あぎょう・物事の始まりを表す)
角といっても、長く鋭いものではなく、頭の上にちょこっと乗っかったような、小さな形をしています。狛犬を見る機会があったら是非、頭の上にも注目してみてください。
これが時の流れとともに変化し、左右の区別なく双方を「狛犬」と呼ぶようになったのです。現代では角のないものなど、様々な姿の狛犬がいます。
ではなぜ、狛犬と獅子の組み合わせだったのでしょう。これについても詳しい文書などはなく、はっきりとしたことはわかっていないようです。
ただ、日本では1000年以上、神仏習合といって、日本の信仰(神道)と仏教が一緒になっていた時代が続きました。長い歴史の中で、日本の神様を守る守護神として定着していったのかもしれません。
名前の由来は諸説あり!狛犬ってどういう意味?
日本においても長い歴史があり、身近な存在でありながら詳しいことがよくわかっていないという狛犬、「こまいぬ」と名前の由来も諸説語られています。
中国を通じて渡ってきたとされる狛犬ですが、中国では「狛」という字は使わず、単に「石獅子」と呼ぶのだそうです。日本にも、もともとは獅子として伝わったと考えられています。
当時の日本人には、獅子やライオンがどういうものかわかりませんでした。そこで、初めて見る異形の像を「犬」と解釈したのです。
この頃の日本には、朝鮮半島を経由して大陸の文化が入ってきていました。狛犬自体は、仏教とともに中国から直接渡ってきていますが、当時は、大陸の文化と朝鮮半島を結びつけることが多かったのかもしれません。そこで、朝鮮半島にあった国「高句麗(高麗)」をとって、高麗犬(こまいぬ)と呼ばれるようになったのでは、という説が有力です。
また、中国大陸北部には「貊(はく)」という民族がいて、この字が転じて「狛」となり、狛犬の名前の由来になったという説もあります。
名前の由来についても、詳しい文献などが残っていないため想像の域を出ませんが、「大陸から渡ってきたもの」という意味を込めてさまざまな呼ばれ方をしているうちに「狛犬」という名が定着していったのかもしれません。
狛犬に会いたいならココ!一度は訪れたいオススメスポット3選
では次に、狛犬ファン必見のおすすめスポットをご紹介します。全国におよそ八万社あると言われている日本の神社には、様々な姿形をしたユニークな狛犬たちがたくさん!神社や地域によってどのような違いがあるのか見て回るのもおすすめです。
まさに狛犬ワンダーランド!赤坂氷川神社(東京都)
東京の中心地・港区の赤坂にある赤坂氷川神社は、東京十社にも数えられる名刹で、社殿は東京都の有形文化財にも指定されています。境内は都会の真ん中にあるとは思えないほど緑豊かで、天然記念物にもなっている樹齢400年もの大銀杏は必見です。
創建は951年と1000年以上の歴史を持ち、江戸時代には徳川幕府が手厚く信仰していたことでも知られています。
狛犬というと、神社の入り口に一対あるだけというイメージがありますが、こちらの神社の境内には、そこかしこあちらこちらに狛犬がいるのです。猛々しく躍動感あるものから少々オトボケな表情のものまで、神社の長い歴史を物語るかのように、様々な姿形の狛犬を見ることができます。
物陰にも狛犬が潜んでいるので、訪れるたびに新しい発見があるところも魅力です。都内有数のパワースポットでもある赤坂氷川神社、お参りをしながら境内で狛犬散策を楽しむ観光客の姿も多く見られます。
赤坂駅、六本木駅、溜池山王駅など、いくつかの地下鉄の駅から徒歩7~8分圏内とアクセスも良好です。
都内最古の狛犬は360歳越え!目黒不動尊(東京都)
目黒不動尊は正式名称を瀧泉寺(りゅうせんじ)という、不動明王をご本尊とする天台宗の寺院です。サツマイモ栽培を普及させたことで知られる江戸時代の儒学者・青木昆陽のお墓があることでも知られています。創建は808年と伝わり、「目黒不動」の愛称で地域の人々から愛される、長い歴史を持つ名刹です。
こちらの境内にも、様々な姿形の狛犬がたくさんあります。
中でも有名なのが、都内最古といわれる狛犬です。足元を注意深く見ると”承應三甲午三月廿二日”との文字が刻まれていて、承応3年(1654年)に置かれた像であることがわかります。御歳なんと360歳以上!博物館ものの狛犬を、間近で見ることができるのです。360年以上もの間、ご本尊を守り続けてきた風格ある姿、阿吽の呼吸もぴったりといった感じがします。
他にも、獅子というより犬そのものといった風体の愛らしい狛犬や、エジプトやギリシアの神殿を守る獅子のような迫力ある狛犬など、境内を歩くだけで狛犬の歴史や流行を垣間見ることができそうです。
JR目黒駅、東急目黒線不動前駅から15~20分ほどかかります。毎月28日は縁日が開かれるので、賑やかな雰囲気の中で狛犬散策をするのもよいかもしれません。