日本の歴史

平成以降の日本の新興宗教はどうやって生まれる?その意外なプロセスに迫る!

宗教とは人智を超えた存在を中心とし、教祖なる存在を通して信者の間で成り立つ信仰もしくは文化で成り立った社会的集団のことです。キリスト教やイスラム教、仏教、ゾロアスター教などが例として挙げられますが、ここでは平成以降に国内で生まれている新興宗教に内容を絞り、どうやって生まれるのか、その生まれるプロセスについて解明していきます。

宗教は教祖の自己肯定感が教祖以外の存在によって認められた時に生まれる!

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平成以降に日本国内で生まれた新興宗教には一定の特徴があります。それは教祖となる人の自己肯定感が並外れて強いことです。例え教祖となる人の学校時代の成績が極端に低く、社会に出ても仕事がまともにできない状況であり、世間からの評価が非常に低い場合でも、教祖となる人は無条件に自分の素晴らしさに酔いしれている傾向があります。教祖となる人の自己肯定感は、現実世界での実績や評価とは無関係であるのです。そのため通常は、教祖となる人の一人の世界だけで幸福である感覚が満たされている状態が続きます。

しかしふとあるとき、教祖となる人が何らかの偶然により、教祖となる人以外の存在によって教祖となる人の考えていることが非常に価値あるものと認められた瞬間、教祖となる人の自己肯定感は、教祖となる人だけの枠で収まらなくなってくるのです。すなわち教祖として信者を吸引し、教祖の温めていた自己肯定感を共有する必要に迫られてきます。これが宗教の誕生する直接の原因です。

プロセス1-教祖自身だけの自己肯定感

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最初のプロセスでは教祖となる人自身の自己満足がそのまま静かに続く形がとられるのです。すなわち教祖となる人自身の学業や社会での仕事の実績、人間関係などとは全く無関係に、教祖となる人が絶対的な自己肯定感の元、至福の状態に満ちあふれている状態が続きます。教祖となる人にとって支えとなる考えの一例として、現実の人間社会ではなく、例えば地球より進化した惑星の皇族の魂が特別な任務のために地球上に身体をまとって降臨しているといった、宇宙レベルの高貴な身分と地球よりはるかに進歩した知性を持っていることなどです。

プロセス2-教祖の自己肯定感が教祖以外の存在により満たされる

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次のプロセスでは教祖となる人自身の自己肯定感が教祖となる人以外の存在によって満たされるのです。教祖となる人以外の存在とは、必ずしも人間とは限りません。例えば、教祖となる人がSF映画を観ていた時にたまたまそのストーリーが主人公の魂が別惑星の宇宙皇族であり、地球を啓蒙するために志願して地球に生誕し、人々を救い続けていくといった映画だとします。この場合に教祖となる人が、「実は別惑星の父上が私に使命に目覚めさせようとしてこの映画へ導いてくださったのだ」と解釈した場合に、この映画の存在が、教祖となる人にとって自己肯定感を満たしてくれるものとなるのです。

仮にこの映画が昔からあるものであり、以前に教祖となる人が幼少の頃に観たことを忘れており、「自分の魂は実は宇宙皇族である」といった思想はこの映画によって影響されていることが事実だとしましょう。それでも、教祖となる人にとっては、自分の存在が全ての中心であるため、全ては自分の気づきのために用意されていると解釈する傾向にあるのです。

プロセス3-教祖の自己肯定感を満たす対象を拡大する

教祖となる人の自己肯定感が第三者からも満たされた後は、突然この至福の喜びを教祖となる人単独で噛み締めているだけでは収まらなくなってくるのです。そこで自分の考えをブログやSNSで拡散するようになります。普通に考えれば、ネットで自分の考えを公開したところでそれに共感する人が現れることはないですが、教祖となる人が本気で「自分こそ人を啓蒙することのできる宇宙皇族である」のような思い込みが激しい場合には、可能になることもあるのです。

それは通常では絶対に解決不可能とされる人の悩みを、いとも簡単に解決する約束を取りつけてしまうことによります。その道の専門家ですら賽を投げるほどの肉体的悩み、経済状況の打開、あるいは既に亡くなった人と生きたまま会話ができるなどの物理法則を無視したスーパー解決法を全面に打ち出すのです。それによって教祖となる人の元へ人が集まってきます。

プロセス4-教祖の自己肯定感を支える独自の思想が教義となる

自分の考えの元に人が多く集まり、教祖となる人はこの時点で教祖となるのです。宗教法人として登録することがない場合もこれに当てはまります。むしろ自分の元へ集まってきた人たちは真実に目覚めた人たちの集まりであって、宗教ではないとするのが共通の認識なのです。そして悩みの解決方法として、現実には到底達成不可能なものが設定されます。例として人体チャクラを100%開いて宇宙エネルギーを通常の人間の100倍のパワーで満たすことが最低条件であるなどです。

100倍のパワーで満たされているかどうかは、教祖によってのみ判断されます。もちろん絶対に信者によって達成されることはないため、条件はクリアしたが問題が解決しないといったトラブルに教祖が巻き込まれることはありません。条件は非科学的な内容が根拠になっていることが多く、どんなに努力しても達成不可能だからです。さらには教祖自身がいずれは達成できると信じ切っているため、人間関係が崩れることはありません。

プロセス5-教義の習得が信者のモチベーションとなる

通常では解決不可能な悩みを抱えた信者が実現不可能な教祖からの条件をクリアできないままであったとしても、それよって信者の心が離れていくことはありません。教祖からの厳しい条件はいずれクリアできると思うからです。むしろクリアできないことを喜びとする人も多くなってくるでしょう。教祖の元に集まる信者自体が「世の中の誰よりも先に真実に目覚めた人々」として認識されます。すなわち全人類において最先端の人生ルートを歩み、最新情報を得る人たちなのです。従って条件をすぐにはクリアできないことが当然であって、そう簡単にクリア出来てしまってはかえって信者にとって困るという矛盾をはらむことになります。

こうして信者にとっては教祖の元で教義を習得すること自体が喜びとなってくるのです。信者にとって教祖が地球よりも格式の高い惑星の宇宙皇族の魂を持った人であれば、当然教祖の説く教えのレベルの高さは、格下の地球の人間では実現できないものであっても不自然ではありません。さらには本来なら地球人は学ぶチャンスも与えられていないはずなのに、解決不可能な悩みを抱えるといった条件によって、特別に獲得するチャンスが与えられたということになれば、むしろ問題の解決など二の次になってくるでしょう。

宗教の生まれるプロセスをしっかりと知ることで、自分を守ることができる

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宗教の生まれるプロセスが現実と乖離した一個人の自己肯定感から来るものであり、非科学的な考えを背景に、人が抱える肉体的、経済的な問題の解決の根拠にするカラクリを予め知ることが大切です。問題が先送りになり取り返しのつかない事態に陥ることを防ぐことになります。

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