日本の歴史

鯉のぼりの由来は?なぜ「鯉」?端午の節句との関係もわかりやすく解説

端午の節句と鯉のぼりの関係

端午(たんご)とは、5月最初の午(うま)の日のこと。中国の陰陽五行説に由来する、季節の節目となる日のひとつです。

主な節句に、1月7日の七草の節句、3月3日の桃の節句などがありますが、5月5日は別名「菖蒲の節句」といいます。古代中国では、5月に匂いの強い菖蒲の葉や薬草などを掲げて厄払いする習慣がありました。季節の植物でもあることから、日本でも5月5日が菖蒲の節句と呼ばれるようになったと考えられています。当初は、田植えの時期に活躍する女性たちを守るための節句だったのだそうです。

日本でも、季節の変わり目に体調を崩さないよう、節句には災厄を避けるためにヨモギなど匂いの強い草を摘み、菖蒲酒を飲んだり菖蒲湯に浸かったりといった行事を行っていました。

鎌倉から室町時代の頃になると、徐々に男の子の成長を願う節句へと変わって行きます。「菖蒲=しょうぶ=尚武」と、武勇を重んじる言葉と同じ読みであることや、菖蒲の葉が剣のような形をしていることなどが重なって、男の子の節句へと変化していきました。比較的裕福な家では鎧や刀、武者人形などを飾るようになり、やがて庭先に鯉のぼりを飾るようになります。

古くからあった菖蒲の節句が男の子の節句に変化し、立身出世を願って鯉のぼりを掲げるようになっていったのです。

鯉のぼりにも種類があるの?

鯉のぼりは、五月人形を扱っている人形店で揃えることができます。デパートや、大手玩具店でも扱っているところがあるようです。

鯉の絵柄は店によって様々なものが用意されていますが、基本的に真鯉は黒、緋鯉は赤、子鯉は青と決まっています。子鯉を追加する場合は縁や紫、女の子をイメージしたピンク色などが人気。主となる色は決まっていますが、金をあしらった豪華なものや細かい装飾が描かれたものなど様々。いろいろな鯉のぼりが用意されています。

素材は、ナイロンとポリエステルが主流。ポリエステルのほうが発色がよく肌触りもよいようで、お値段も若干高めですが、ナイロン製のものも風雨に耐える丈夫さがあり人気があります。

一般的には、3m~10mほどの長さのポール(竿)と、ポールの先端に取り付ける矢車、吹き流し、真鯉、緋鯉、子鯉のセットで購入することが多いようです。ポールは、地面に打ち込むタイプの他に、コンクリートや砂袋などの重しを乗せて固定するタイプもあり、設置する場所に合わせて選ぶことができます。また、1m~2mほどの長さの竿を屋根やベランダなどに固定する小型タイプも人気です。

鯉の大きさやポールの長さ、柄や装飾、素材などを加味すると、鯉のぼりと一口に言っても様々な種類があります。実際に店に足を運んで、実物を見ながら決めるのがオススメです。

泳げ鯉のぼり!ファミリーで出かけたいおすすめイベント4選!

「自宅の庭には鯉のぼりは掲げられないな……」という方でも、鯉のぼりを堪能できる方法がありますよ。鯉のぼりをたくさん見ることができるお祭りやイベントは、日本各地で行われているんです。今回は数ある鯉のぼりイベントの中から、特に有名なものを4つ、ご紹介します。

●「こいのぼりの里まつり」群馬県館林市花山町

毎年3月下旬から5月にかけて、群馬県館林市を流れる鶴生田川を中心に行われる鯉のぼり祭りです。2005年(平成17年)には5,283匹の鯉のぼりを掲げ世界記録を達成し、見事ギネスに認定されました。川の上にロープが渡され、まるで川面を泳ぐ本物の鯉のようです。

●「世界一のジャンボ鯉のぼり(加須市民平和祭)」 埼玉県加須市大越・利根川河川敷緑地公園

日本屈指の鯉のぼりの産地・加須市では毎年、5月の祝日に巨大な鯉のぼりを挙げて観光客を楽しませています。1988年から始まったジャンボ鯉のぼりは毎年続けられ、現在は全長100m、重さ330kg、口輪の大きさは10mにもなる巨大な鯉のぼりが大空に。大きなクレーン車で高々と掲げられ、お腹いっぱいに風を受けて舞う姿は圧巻です。

●「鯉流し」石川県金沢市・浅野川

通常なら大空を泳ぐはずの鯉のぼりが川の中に!風情ある金沢の街中を流れる浅野川の中に、友禅流しのように鯉のぼりが泳いでいます。鯉は本来水の中を泳ぐ魚ではありますが、川の中の鯉のぼりとは何とも珍しい。涼やかなその姿を見ようと毎年多くの観光客が訪れます。

●「東京タワー333匹の鯉のぼり」東京都港区芝公園

東京都の観光名所・東京タワー周辺が鯉のぼりでいっぱいになる人気のイベントです。東京タワーの高さ・333mにちなんで、333匹の鯉のぼりが東京タワーの足元に集まります。色鮮やかな鯉のぼりと東京タワーのコラボレーションは一見の価値ありです。

大人も子供もみんな大好き!高く泳ぐよ鯉のぼり

image by PIXTA / 15435447

男の子の立身出世を願って掲げられるようになった鯉のぼり。子供たちが明るく健やかに育つよう、様々な思いが込められていると改めて理解が深まりました。また、春が過ぎ夏を迎えようという時期を感じる日本の原風景にもなっています。街中では、庭先で鯉のぼりを掲げるお宅は少なくなりましたが、その分、地域のイベントで鯉のぼりが活躍するケースも増えているようで嬉しいです。GWには是非、元気いっぱいの鯉のぼりたちに会いにお出かけになってみてください!

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