ヨーロッパの歴史

カトリック・プロテスタント・正教会の違いって?わかりやすく5分で解説

カトリックでもない、プロテスタントでもない……東方正教会って?

中世、教義をめぐって大ゲンカしおたがいを破門した東方正教会と西方教会(カトリック)の両者(20世紀に和解)ですが、カトリックとの共通点はずいぶんあります。聖人信仰や十字を切る行為、秘跡などはカトリックと正教会の両方が持つシステム。教会トップにあたる「総主教」はコンスタンティノープル(トルコ)、アレクサンドリア(エジプト)など世界各地におり、複数人の総主教の権威は平等です。

正教会の見分け方をご説明しましょう。まずマリア「像」ではなく、上の画像のようなイコン(聖画)があること。聖母マリア信仰や聖人信仰もあります。プロテスタントよりも古く、プロテスタントよりカトリックにイメージが近いものの、カトリック・プロテスタントよりもずっとずっと、教えや秘跡の扱いが機密事項の扱いになっているのが正教会です。

礼拝(奉神礼)では司祭の唱える聖句に合わせて十字を切りますが、上→下→右→左(カトリックは上→下→左→右で左右が逆)。礼拝では司祭の差し出すイコンに信者がキスします。NHKドラマ「坂の上の雲」で、ロシア正教会の礼拝にて、日本の軍人広瀬武夫(演:藤木隆弘)がイコンにキスしているシーン(正教会の礼拝シーン映像は貴重!)がありますよ。

聖職者も結婚OK?離婚も大丈夫?合理的な正教会のシステム

カトリックの聖職者は性的関係はすべてNGの禁欲生活。一方で東方正教会においては、夫婦間で行うクリエイティブな行為として結婚は聖職者でも可能です(高位聖職者は生涯独身)。のちにプロテスタントが生涯独身の非合理性を叫んで妻帯を可能としましたが、時代を先取りしていたんですね。

また離婚も可能です。どうしても夫婦で折り合いが悪い場合説得を試みますが、どうしてもダメ!なようならば教会が離婚を許します。ただし再婚は3回まで。カトリックでは結婚は神様とのお約束事項なので離婚は不可能、離婚のためだけにプロテスタントに宗旨変えする方も多いんですよ。

またプロテスタントにはない、「聖人」の存在について。非常に大きな功績を残したキリスト教徒や、奇跡を起こした信徒、殉教者のうち条件を満たし厳しい審査を通過した人間が、前段階「福者」を経過した後「聖人」として認定。これには100年近くかかることも。カトリックと正教会共通の聖人もいます。

ここは同じ!カトリック・プロテスタント・正教会

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違う点ばかりピックアップしてきましたが、最後にカトリック・プロテスタント・正教会の共通点の主だったものを挙げてみましょう。旧約聖書・新約聖書が聖典なのは共通です。(父なる神ヤハウェ)と(神の御子イエス・キリスト)と聖霊、この3つ(三位)は、別のものはなく同じモノ(一体)であるとする「三位一体説」もいっしょ。ちなみにキリスト教の「聖霊」は、自然などに宿る霊としての「精霊」とは違うのでご注意を。

洗礼の儀式はどこもかならず存在する大切な宣誓式。聖水をかけられ、神を「信じます」と誓います。聖水は頭からちょろっとかけられるだけなのもあれば、バスタブのようなところにドボンと浸かるのもあり、教会により様々です。これはイエス・キリストが洗礼者ヨハネから受けた儀式をそのまま継承しています。

「アーメン」という言葉は「確かに」「そのとおりでありますように」という意味のヘブライ語。「栄光は父と子と聖霊に。アーメン(確かにそのとおりです)」というふうに用いられます。確実に神はおり、お助けくださる。そういう心をこめているので、ラーメンヒヤソーメンとはくれぐれも言わないようにしてくださいね。

教派の違いを覚えておくのは、教会へ行く前のマナー!

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教会に行く前に各教派の違いはマナーとして覚えておきましょう。土足で畳に上がることになりかねません。歴史さえも動かしてきたデリケートな問題であり、そうでなくても、おさえておいてくれるとクリスチャンとしてはホッとする、それが教派の違いです。今回はだいたいの違いをピックアップしました。覚えていただけましたか?よし、それではいざ教会へ!

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