ギルガメッシュを倒すために作られた怪人・エンキドゥ
女神アルルは粘土をこねて「エンキドゥ」という名の野獣を造り、大地に置きました。
エンキドゥは自分がなぜこの世に生まれたのか、その使命を知らずに暮らしていましたが、やがてギルガメッシュの存在を耳にします。
ウルクへやってきたエンキドゥはギルガメッシュと初対面。強い相手と出会って、戦わないわけにはいきません。二人は互いの力を推し量るかのように戦いますが、決着はつきませんでした。
ギルガメッシュにとっては、生まれて初めて出会った「自分と同じくらいの強い力を持つ者」。エンキドゥも同じ思いを抱いていました。二人の間に友情が芽生え、ギルガメッシュとエンキドゥは固い絆で結ばれていきます。
二人の間に芽生えた友情とともに物語は進み……
二人はお互いに協力しあい、はるか遠くにある森に棲むフンババという名の怪物を倒しに出かけます。
フンババは強敵でしたが、二人は力を合わせてこれを退治。ギルガメッシュとエンキドゥの絆はますます深まります。
ウルクに帰還したギルガメッシュとエンキドゥでしたが、一難去ってまた一難。ギルガメッシュに袖にされ怒り狂った女神イシュタルが、強大な力を持つ天の牛を差し向けてきたのです。
イシュタルが放った天の牛がウルクを滅ぼそうと襲い掛かってきます。なんと恐ろしい……。しかし世界最強の二人が力を合わせれば、天の牛とて脅威ではありません。
天の牛を打ちのめしたギルガメッシュとエンキドゥ。向かうところ敵なしです。
エンキドゥの死と永遠の命を求める旅
しかしこの後。エンキドゥに悲劇が訪れます。
神々から「天の牛を殺した償い」として死を宣告されてしまうのです。
なんで?正当防衛では?などと言っても神様には通用しません。エンキドゥは嘆き悲しみますが、最愛の友・ギルガメッシュと語り合いながら、静かに最期の時を迎えます。
友を失ったギルガメッシュ。悲しみに暮れながら、永遠の命を求め、不死の秘密を知るウトナピシュティムという人物を訪ねて古都シュルッパクへ向かいます。
苦しい旅の末、ようやくウトナピシュティムと対面したギルガメッシュ。ウトナピシュティムはギルガメッシュに大洪水の話を聞かせ、海底にあるという、永遠の命を司る植物のことを教えます。
これで永遠の命を得ることができる。ギルガメッシュは海に潜ってこの植物を手に入れますが、ウルクへ戻る途中で蛇に食べられてしまいます。
ギルガメッシュは失意のまま、ウルクへと戻っていったのだそうです。
ゲームやファンタジー小説にも・21世紀社会にも多大な影響を与える「ギルガメッシュ叙事詩」
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ギルガメッシュ叙事詩は日本語にも翻訳され、私たちでも読むことができる物語となっています。旅、冒険、友情……。ドラマチックに描かれたギルガメッシュ叙事詩は、「ギルガメッシュ」という独特な響きから湧き出る魅力とともに人気を深め、やがて独り立ち。マンガやロールプレイングゲームの登場人物として描かれるようになりました。でも、もともとは、数千年前に描かれた、実在の王をモチーフにした英雄譚。ギルガメッシュ叙事詩、機会がありましたら是非、手に取って読んでみてください。