アテネとスパルタの覇権争いとなったペロポネソス戦争
サラミス海戦とプラタイアの戦いの勝利により、ペルシア軍はギリシアから引き上げました。アテネはデロス同盟を結成。その盟主として覇権を握ります。将軍ペリクレスの下で絶頂期を迎えたアテネの勢力拡大に、スパルタは強い危機感を持ちました。
スパルタはアテネに対抗するため、ペロポネソス半島の諸ポリスとペロポネソス同盟を結成しアテネに対抗しようとします。
紀元前431年、スパルタ王アルキダモスはペロポネソス同盟軍を率いてアテネの本拠地であるアッティカ地方に攻め込み、ペロポネソス戦争が始まりました。
アテネの将軍ペリクレスはアテネ市内に籠城し、海軍力でスパルタを圧倒しようとします。しかし、アテネ市内で予想外の疫病が流行。ペリクレス自身も病に倒れてしまいました。そのため、アテネはスパルタと一時講和します。
しかし、講和から8年後、再び両軍が激突。シチリア島やギリシア本土で両軍は激しく戦いましたが、最終的にスパルタの勝利に終わりました。
スパルタの衰退
ペロポネソス戦争で勝利したスパルタはアテネにかわってギリシアの覇権国家となりました。しかし、スパルタの強大化を恐れたペルシア帝国はアテネ、テーベ、コリントなどを資金援助します。これらのポリスとの戦いでスパルタは徐々に衰退しました。紀元前331年、スパルタ王アギスはアレクサンドロス大王の部下と戦い大敗。スパルタは完全に力を失ってしまいます。
コリント戦争と大王の和約
ペロポネソス戦争に勝利したスパルタはギリシア全体の覇権国家となりました。しかし、強力なポリスの出現を警戒したペルシア帝国はアテネ、テーベ、コリントなどに資金援助を実行します。
紀元前395年、アテネなどの3ポリスは連合軍を結成しスパルタと交戦しました。これが、コリント戦争です。3ポリス連合軍はスパルタを相手に優位に戦いを展開します。
アテネがコリント戦争の戦勝国となり、再び力を取り戻すことを警戒したペルシア帝国はスパルタと3ポリスの和平を仲介。前386年に和平条約を締結させました。
ペルシア帝国が仲介した和平という意味で大王の和約、または和約締結に尽力したスパルタ使節アンタルギダスの名をとり、アンタルギダスの和約ともよばれます。
新興勢力テーベと戦ったレウクトラの戦い
コリント戦争ののち、テーベは一時的にスパルタに支配下に置かれました。紀元前379年、エパメイノンダスらテーベ市民はテーベ周辺の城砦を占領していたスパルタ軍を追放しスパルタの支配から脱します。
紀元前371年、エパメイノンダス率いるテーベ軍はレウクトラでスパルタ軍と対峙。ギリシア最強と謳われたスパルタ軍に対抗するため、エパメイノンダスは斜線陣を用いました。
斜線陣とは、全軍のうち、左翼(または右翼)に主力を集中させ、敵軍の右翼を突破。そのまま左翼軍が敵の中央・右翼の側面や背面に回り込んで包囲殲滅するという戦法です。エパメイノンダスの狙いは見事に的中。スパルタ軍は総崩れとなり、レウクトラの戦いはテーベの勝利に終わりました。
この時、最も活躍したのが神聖隊とよばれた特別部隊です。互いに愛し合う戦士どうしを組み合わせた神聖隊の力はすさまじく、スパルタ軍をすら凌駕しました。
マケドニアとの戦い
レウクトラの戦いの後、エパメイノンダスはスパルタとの戦いで戦死。彼に代わる指導者が出なかったテーベは衰退しました。
紀元前338年、ギリシア北方にあったマケドニアの王フィリッポス2世は、カイロネイアの戦いでアテネ・テーベ連合軍に勝利。ギリシアでの覇権を握りました。
フィリッポス2世はスパルタを除く全ギリシアのポリスとコリントス同盟を締結。各ポリスに一切の戦いを禁じました。その一方、スパルタはマケドニアによる支配を認めず、コリントス同盟に参加しません。
フィリッポス2世が暗殺され、マケドニアの王位を継いだアレクサンドロス(アレキサンダー大王)は、ペルシア遠征を行いました。その隙をついて、スパルタ王アギスがマケドニアに戦いを挑みます。
紀元前330年、スパルタ軍とマケドニア軍はペロポネソス半島中部のメガロポリスで決戦しました。この戦いでスパルタ王アギスは戦死。マケドニアによるギリシア支配が確定します。
伝説となったテルモピュライの戦いと300人の戦士
強敵ペルシア帝国と戦い一歩も引かなかったスパルタ人たちは全ギリシアの尊敬を集めました。ヘロドトスはテルモピュライに建てられた石碑を紹介しています。「旅人よ、行きて伝えよ、ラケダイモンの人々に。我等かのことばに従いてここに伏すと」。2006年に公開されたアメリカ映画「300」はスパルタ王レオニダスと300人の戦士を主人公にしたものでした。スパルタ人の壮絶な戦いぶりは、今も昔も人々の語り草となっています。
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