平成日本の歴史

増税は本当に必要?~消費税のカラクリを一刀両断に斬ってみた~

消費税に代わる財源とは?

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所得が低い人ほど負担が大きいといわれている消費税ですが、果たして消費税に代わるべき財源とはあるのでしょうか?国民みんなが安定した生活を送るためには、「取りやすいところから取る」という税制が見直されるべきではないでしょうか。検証してきましょう。

法人税の累進課税化によって大きな財源を得る

日本の法人税の特徴について、大企業ほど税制優遇措置の恩恵に預かれると述べましたが、大きなポイントはそこにあります。利益を相応に上げている企業については、それに応じた税負担をすべきだという声も多くあり、所得税と同じく累進課税(いわゆる所得や利益が上がれば税率もそれに伴って上がる税)に変更した場合、現在の法人税の2.8倍もの税収が見込めるという試算もあるほどです。

「それでは日本の大企業は海外へ逃げてしまうのでは?」という懸念もありますが、おそらくそれには及ばないでしょう。多くの大企業は日本の株式市場に上場していますし、法人税以外にも、持っている他社の株の受取配当金は利益に組み入れなくても良いという「受取配当益金不算入」制度や、試験研究費などの減税措置による恩恵を受けられるからです。

日本共産党あたりは、大企業が貯めこんでいる内部留保金を放出すべきだと主張していますが、消費税に代わる財源という考え方からすれば、法人税を累進課税化することによって十分に担保できるのではないでしょうか。

消費税を減税した国、廃止した国

消費税アップばかりがクローズアップされる日本ですが、果たして外国では消費税を減らしたり廃止した国があるのでしょうか。その実例を見ていきましょう。

カナダの場合は付加価値税(いわゆる消費税)が1991年に導入され、この時は7%でした。ところが2006年に6%へと引き下げられ、さらに2008年には5%へと段階的に引き下げられていきました。同年、サブプライム危機でカナダが財政悪化に陥ったことを考えると、景気後退の時期に消費税引き下げを行ったことは英断というべきでしょう。

イギリスでは1991年時、17.5%だった付加価値税(消費税)を2009年までに15%に引き下げました。その結果、英民間調査機関の経済ビジネス調査センターによれば、小売業の売り上げが劇的に伸びたそうです。ところが2011年には再び消費税が上がり20%になりました。それと共に景気も悪化し、GDP成長率は前年の2%から1.2%に下落したとのこと。

マレーシアでは昨年、消費税廃止を公約にしたマハティール元首相率いる野党連合が大勝し、税率が6%からゼロになりました。税収不足に陥ることが明確で、しかも売上税・サービス税を復活せざるを得ない状況となりましたが、それでも消費税廃止に踏み切ったのは、個人消費や民間投資を減速させずにGDP成長率を維持することでした。製造業における外国投資認可額は前年比2.7倍と堅調で、今後の動向が注目されています。

消費税とは諸刃の剣

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日本に消費税が導入されてから、はや40年。今や当たり前のものとなりつつありますが、もっと税について疑問符を持ってもいいと思います。なぜそんなに予算が必要なのか?何のために使われるのか?なぜ国民の生活が楽にならないのか?など、自分が身を切るように得たお金だからこそ考えてほしいのです。そうすればもっともっと良い国になるような、そんな気がしますね。

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明石則実