大正日本の歴史

5分でわかる恋愛小説家「堀辰雄」生涯・作品は?わかりやすく解説

5-1.若き日の堀辰雄が経験した軽井沢がテーマ【ルウベンスの偽画】

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ルウベンスの偽画 | 堀 辰雄 |本 | 通販 | Amazon

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堀辰雄は19歳の頃に初めて軽井沢を訪れ、その美しい情景や自然に魅了されました。この時期の彼は、さまざまな人々との出会いを通じて大きく成長していきますが、そのいっぽうで母や芥川龍之介の死に直面しています。

この【ルウベンスの偽画】の原稿は、龍之介に見せた最後のものとなりました。非常に出来が良くて有頂天になって見せに行ったと述懐していますね。

主人公である青年の恋愛心理を緻密に描き、その心の移ろいや心情などが軽井沢の風景と相まって美化された作品だといえるでしょう。またこの作品は堀辰雄の処女作でもあるのですが、彼独特の美しい文体で綴られています。

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5-2.不器用な青年の恋愛心理を描いた【不器用な天使】

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不器用な天使 | 堀辰雄 |本 | 通販 | Amazon

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堀辰雄が愛した軽井沢ではなく、一転してモダンな戦前の東京が舞台となっています。彼の作品の特徴は、自分の境遇と重ね合わせた私小説的なものが多いのですが、この作品も彼自身の微妙な恋愛心理を描いているのです。

作品の中の主人公は、たびたび訪れるカフェの女給さんなのですが、堀自身も雑誌「驢馬」を創刊した仲間たちとモデルとなったカフェに足繁く通っていたそう。

当時のカフェで働く女給さんは、ウェイトレスという役割ではありません。今で言うならホステスさんと表現したほうが良いかも知れません。疑似恋愛なのか?本物の恋なのか?主人公の気持ちになって読んでいくと面白いでしょう。

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5-3.堀辰雄初期の名作【美しい村】

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美しい村 | 堀 辰雄 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

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病気や失恋で傷心のまま「美しい村」を訪れた主人公が、滞在している時に起こったさまざまな出来事を書き連ねた物語です。この「美しい村」というのは軽井沢のことを指していて、とある出会いをきっかけにして「生きる意欲」に満ちていくというストーリーになっていますね。

「序曲」「美しい村」「夏」「暗い道」の4つのパートに分かれていますが、「夏」の章に登場する少女こそが、のちの代表作「風立ちぬ」のヒロインとなるわけですね。

作品の中で主人公と少女との関係は、そのまま堀辰雄と矢野綾子に繋がっていくわけですね。

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5-4.情熱と現実の狭間で葛藤する主人公【菜穂子】

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菜穂子 | 堀 辰雄 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

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堀辰雄としては珍しい長編小説です。昭和16年の発表されたといいますから、彼の晩年の代表作だといえるかも知れません。また特徴的なのが女性が主人公だというところ。

内に情熱を秘めつつも慎ましく恋をしていた母に反発し、主人公の菜穂子はより現実的な生活を求めるべく、愛のない結婚に踏み切りました。ところが現実は厳しいもの。夫と姑の狭間で孤独感をますます感じていくようになるのです。

やがて体調を崩して信州の病院で長期療養を続けますが、そこにかつて一緒に過ごした幼馴染が現れます。互いに孤独と葛藤し、虚しさを感じていた二人は、「生きる」ことの意味を思い描くようになるわけですね。

ちなみにアニメ映画「風立ちぬ」の主人公の名も菜穂子といいますよね。

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今読んでも全然古さを感じさせない堀辰雄の作品

image by PIXTA / 17285248

堀辰雄の作品は今でも多くの人々に読まれています。彼の没後、60年以上が経過していますが、今でもまったく色褪せない美しくも儚げな表現は古さを感じさせないどころか、新鮮ですらありますね。気分が落ち込んだ時や、辛いことがあった時など、是非とも読んでほしい彼の作品なのです。

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明石則実