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HSPの若者へーゲーテ「若きウェルテルの悩み」の魅力を解説!

【こんなところに救われる】世の中を生きづらいHSPが共鳴するウェルテルの姿

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ひたむきなあまり、感情が暴走しがちながらも、嘘をつけない率直な青年ウェルテルの人柄は今も昔も若い人の心をつかみます。「若きウェルテルの悩み」はHSPの強すぎる・繊細すぎる感性を極限まで理解し小説として写し取ったような名作。世間で生きづらいと悩むHSPのあなたに、ウェルテルそしてゲーテが、寄り添ってくれます。

ギスギスした「ふつうの社会」になじめない若者の心

「不機嫌は最大の悪徳である」これは物語の前半でウェルテルが断言していることです。HSPは他人の悪意やマイナス・ネガティヴな感情におそろしく敏感。数メートル離れたところで上司が他人を叱っているのだけで気分が悪くなります。そこにゲーテ、もといウェルテルは言い放つのです。「不機嫌は最大の悪徳だ」と。HSPにとってなんと頼もしい言葉なのでしょうか。

ウェルテルは第2部にて公使(外交官)に従って他の地方へ移ります。しかし彼は集団になじめず、気が合う人とは身分違い。他人とうまく距離をとれません。周囲からは嫌がらせや陰口のシャワー。いや、真正面から言えばいいじゃん!第2部のウェルテルの姿はふつうの人たち(非HSP)の集団で孤立し苦しむ若いHSPそのものです。この無理な社会進出が、後半に起こる悲劇の遠因となります。

ウェルテルがロッテに救われた理由は、彼女もまた同じ感性と感受性を持つ女性であり、自分を受けいれてくれたから。ロッテもHSP特有の豊かな感受性と繊細さを持ち合わせる女性。ウェルテルは自分を理解してくれる存在に救われたのですが、最終的にロッテもまた……愛する女性と適切な距離をとれないウェルテルの姿はまさしく悲劇的です。

圧巻の自然描写と、描かれる情緒

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若きウェルテルの悩み

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ウェルテルの心は常に危うく揺らぎ、序盤からすでに死の匂いが作品に漂っています。そんな彼を勇気づけ喜ばせるのは、ロッテの存在もありますが、彼のお気に入りの里・ワールハイムをはじめとした美しい自然。そこに描かれる世界のきらめき、美しさや善良さは、多感なHSPの見る自然の世界そのものですよ。

ぼくたちは、窓ぎわに近よった。雷鳴は空のかなたに去った。はげしい雨がすっかり大地をあらい、さわやかな匂いがあたたかな靄(もや)となってぼくたちのほうへ漂ってくる。ロッテは肘をついて窓にもたれていた。そのまなざしは戸外の風景にそそがれていた。やがて空を仰ぎ、ぼくを見た。

――「若きウェルテルの悩み」井上正蔵訳 より引用

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(井上訳は、ちょっとクセのある新潮文庫の高橋訳よりも読みやすく、筆者的にはイチオシ!)

優れた小説とは、ストーリーではなく世界を作り上げるものです。ウェルテルの目に映る世界はあまりにも美しいもの。絶望に突き落とされてゆく彼と対比するように変化する、ワールハイムの風景もまた圧巻です。

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人との距離がとれないウェルテル

ウェルテルはロッテを愛するあまり、彼女に連れられていった人前で持論をふるいながら涙を流し、ロッテに叱られるほど。HSPは夢中になると、人との距離がうまくとれなくなる傾向にあります。相手と自分の境目がどんどんなくなっていくのです。

ウェルテルのみならず、ヒロインのロッテもそれは同じ。彼女はウェルテルを憎からず想っており、自分の感性を理解してくれるウェルテルを、かけがえのない存在のして次第にとらえるようになります。夫のアルベルトとはまた違う頼もしい存在として……。この「親しくなりたいあまり、適切な距離がとれない」感じ、どこかで「自分に似てる」と思ってしまうかも?

またウェルテルは、他人の喜びのみならず悲劇にも非常に深く共鳴するのです。作中、彼はある悲劇的な男の事件に遭遇し深く心をうたれます。そこから彼の運命は本格的に転がりはじめ、ウェルテルは、あまりにも有名な「ある方法」によって破局してしまうのです。

ウェルテル効果……あまりに危うい「自殺」のささやき

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筆者は若いころの一時期自殺を考えていました。結局さまざまな本を読んだりして乗り切り、アラサーの現在まで生き延びています。危うすぎる10代の荒波をサーフィンする指南本の1つが「ウェルテル」だったわけですが、この本のどこに救済があるというのか?自殺するほど苦しいなら、もうちょっとこらえて「ウェルテル」を手にとってみてください。その理由を説明しましょう。

自殺を肯定している?「ウェルテル」を読むと死にたくなるのか

「若きウェルテルの悩み」に関連した歴史上の事件で有名なものがあります。「ウェルテル効果」――「若きウェルテルの悩み」の愛読者の青年たちが、作中のウェルテルと同じ服装でピストル自殺を遂げる事件が多発したのです。これによって「ウェルテルは自殺肯定のけしからん本だ」という風潮は多少今もあることは否めません。

しかしウェルテルは私たち読者の代わりに死んでくれているのです。読書は他人の人生の追体験。悩み苦しんだウェルテルが自らの命を断つシーンを読むことで、どこか、不愉快な皮を脱皮したようにスッキリするのです。ただただ、「ウェルテル」は、あなたの苦痛によりそうことでしょう。だからこそ数百年にわたり愛されてきたのです。

あとこれは読んでからのお楽しみなのですが、ウェルテルの死に方はわりとリアルで、苦しそう。しかも自殺は最悪の罪、地獄行きと考えるキリスト教の決まりに従ってお葬式ナシ。ただ埋められるだけというシビアな扱い。筆者は「うわぁ……」となって死ぬのやめました。本当です。

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