フランクリンの意外な一面2・有名な凧の実験を行う
フランクリンが電気に興味を持ったのは「ライデン瓶」の実験からでした。このライデン瓶というのは静電気を瓶の中に貯め込む装置のことです。フランクリンは嵐の中で凧(たこ)を飛ばして、針金がついた凧糸の端をライデン瓶につなげるという実験をしました。すると、雷が鳴り、雷が凧糸を伝って瓶の中に入り、瓶に電気が貯まったのです。こうして雷が電気現象であることが証明されたのでした。また、雷がとがったものに落ちやすく、雷の電気も電線で誘導できることがわかって、避雷針の発明に大きく前進したのです。
この実験は非常に有名なのですが、実際に凧を揚げたのはフランクリン本人ではなく、甥っ子だったと言われています。また、この実験を他の学者が試してみたところ、死亡事故が起きてしまったため、現在ではこの実験は行われていません。確かに雷の日に凧揚げしたら危険極まりないので、絶対にマネしないようにしましょう。
フランクリンの意外な一面3・まだまだあるフランクリンの発明品
この他にもフランクリンはさまざまなものを発明しています。まずは「フランクリンストーブ」。これはただ薪を燃やすだけの暖炉とは違って、前面以外の5つの面を鉄板で囲って煙突をつけたもので、非常に熱効率が良いので現在でもこのフランクリンストーブを改良した薪ストーブが使われています。また、歳をとってから近視と老眼に悩んだフランクリンは、近視用と遠視用のメガネを合体させたものを発明しました。これが現在もよく使われている遠近両用メガネです。さらにグラスハーモニカというガラスを使った新しい楽器を発明したりもしています。かのモーツァルトもグラスハーモニカの音色に魅せられて、この楽器を使った曲を作ったそうです。
フランクリンのすごいところは、これらの画期的な発明をしながら特許を申請せず、自分だけでお金儲けをしないで社会に貢献したことでした。こうした社会貢献への姿勢も、フランクリンが偉人として現在も支持されている理由なのでしょうね。
フランクリンの意外な一面4・フランクリンは自己啓発本の元祖?
フランクリンは自伝を書いています。この『フランクリン自伝』は「自己啓発本の元祖」とも言えるもので、現在のあらゆる自己啓発本はこの本の焼き直しだという人もいるほどです。ここでもご紹介した、貧しい家に生まれてから成功するまでのアメリカン・ドリームな生涯を綴っているのですが、その中には読者の若者たちへの教訓になるようなことが数多く書かれているんですね。勤勉や倹約、迷信から解き放たれた科学的な精神などの大切さがわかる本です。
日本語訳は岩波文庫で出ていますので、ご一読をおすすめします。下手な自己啓発本をたくさん読むぐらいなら、元祖であるこの本を読んだほうが得るものが大きいかもしれません。
フランクリン自伝 (岩波文庫)
Amazonで見るフランクリンの意外な一面5・フランクリンでも守れなかった?13の生活習慣
『フランクリン自伝』で有名なのが、「フランクリンの十三徳」といわれる十三の徳目です。
- 節制 飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ。
- 沈黙 自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。
- 規律 物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。
- 決断 なすべきをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。
- 節約 自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち、浪費するなかれ。
- 勤勉 時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし。
- 誠実 詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出だすこともまた然るべし。
- 正義 他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。
- 中庸 極端を避くべし。たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むべし。
- 清潔 身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。
- 平静 小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に平静を失うなかれ。
- 純潔 性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これにふけりて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他の平安ないし信用を傷つけるがごときことあるべからず。
- 謙譲 イエスおよびソクラテスに見習うべし。
宗教のお題目と違って非常に具体的。でも全部を実行するのはぐうの音も出ないほどの聖人でなければ不可能でしょう。そこでフランクリンはこの中から1つを選んで、とにかく1週間はそれに専念することを考えました。たとえば1週間、毎日「節制」を心がけて、寝る前にできたかどうか反省して印をつけます。7日間、全部〇がついたら、「節制」の徳は高められたと考えて、次の徳に移るというわけです。ちなみに、フランクリンでさえもこの十三徳を網羅するのは難しかったそうで、なんだか凡人にとってはほっとするような話ですね。