チェルノブイリ原発事故の簡単な概要
チェルノブイリ原発事故とは、1986年4月26日1時23分に当時のソビエト連邦(現在のウクライナ)で起こった原発事故です。
この原発事故により、現在でも現場から30キロ圏内は居住禁止、486もの村や町が消滅、およそ40万人もの人が故郷を失い、被災者は現在までに500万人にまで及ぶともいわれています。
こちらの記事もおすすめ
そもそも原子力発電って何なの?
原子力発電とは原子が核分裂したときに生まれる莫大なパワーを水蒸気に変えてその水蒸気の圧力でタービンを回し発電することを指します。
原子力発電は火力発電とは違って二酸化炭素をほとんど出すことはなく、とてもエコロジーな発電として知られており、さらには核分裂に使うウランはなんと11gで家庭の1年間の電気を賄うことができるまさしく夢のような発電でもあるのです。
しかし、その原子力発電を制御不能にしたのが要するに原子爆弾と呼ばれるもの。つまり原子力発電を制御不能の状態にしてしまうと原子爆弾が爆発しているような被害を出してしまうかもしれないのでした。そしてその原子力発電所の大事故が今回紹介していくチェルノブイリ原発事故だったのです。
ソ連の官僚気質
1980年。ソビエト社会主義共和国連邦の一構成国だったウクライナに地図にも載っていない秘密都市が作られていました。いわゆるプリピャチ秘密都市です。
このプリピャチ市はいわゆるチェルノブイリ原子力発電所に勤務している人ためだけの都市であり、当時西側諸国と激しい争いをしていたソ連らしい都市でもありました。
チェルノブイリ原子力発電所は世界最大の原子炉として成長を続けていき、1983年には4号炉の建造を進めていきました。しかし、この4号炉の建造が全然進まず、いつかどうするかどうかもわからない状態でもありました。
しかし、この4号炉をソ連の原子力産業記念日である12月22日に絶対間に合わせなければならないとされており、これに遅れれば原子炉の関係者の立場が危うくなってしまいます。
このため、原子力発電所に絶対に必要な耐熱材が入らなくても無理矢理作らさせなんとか12月21日に完成。その翌年に4号炉を稼働させるに至りました。
しかし、この4号炉がのちに世界を揺るがすとはこの時は思いもしなかったのです。
原子力発電所のテスト
原発事故が起こる3日前。チェルノブイリ原子力発電所では地震や事故などで電力がストップし、原子炉に必要な冷却水を送るポンプが動かなくなった時にタービンの動きでポンプを動かせるのかというテスト。このテスト自体は別になんも問題のない単なるテストなんですが、ソ連の関係者はこの実験を行う時になんと事故が発生した時にすぐに運転を止めるため大量の水を注ぎ込み原子炉を冷やして停止させる緊急炉心冷却装置を取り外してしまったのです。実験のためには仕方のないと思ったのでしょうか?もし失敗した時には取り返しのつかないことになります。
そしてその行為はさらにとんでもないことへとつながっていくのです。
負の連鎖
実験当日。ウクライナの首都のキエフに対して送電を行った後、実験が開始しましたがソ連の原子力発電所は実験レベルの出力となると基本的には不安定な状態に陥ることがありました。
そのため、ガイドラインには基本的には700メガワット以下にはしないようにすると書いていましたが、チェルノブイリの技術者たちはこのガイドラインをガン無視してなんと200メガワットまで下げるように指示を出します。
そのため、実験を行うと原子炉の出力が大幅に低下。このままいくと原子炉は停止してしまうことになりました。
原子炉は一旦完全停止すると基本的には3日は稼働することはありません。そのためもしチェルノブイリ原子力発電所が完全停止するとウクライナの電力供給は不安定なものとなってしまいます。
それだけは絶対に避けたいチェルノブイリの技術者たち。そこで奥の手かのように出力を一気に上げるために原子力の制御棒を9割方抜くという判断をしたのです。
原子炉の大爆発
原子炉の制御棒は原子の核分裂を安定させるための装置ですが、この制御棒を抜いたおかげで原子の分裂が活発に起こることになります。
このことで原子炉の出力は上がることになったのですか、制御棒を抜くということは核分裂のコントロールを効かなくするということ。核をコントロールできないものは要するに核爆弾とほとんど同じ状態であるため、原子炉はいつばくはつするかわからない爆弾となってしまったのです。制御棒を抜いたおかげで原子炉の出力は大幅に上がるようになります。
さらに、原子炉の実験によって原子炉を冷やす冷却水を送らなくしたため原子炉内の水蒸気が増加。炉心では水蒸気の圧力が急激に上がり原子炉の爆発のカウントダウンが迫ることになるのです。
原子炉は水蒸気の圧力で制御不能状態に陥り、この時ようやくチェルノブイリの技術者たちは異変に気づきます。
技術者は緊急停止装置を押して制御棒を一斉に入れるのですが、時はもうすでに遅かった。
制御棒を入れたところで焼け石に水の状態ですし、さらには制御棒を入れる時には一瞬出力が大幅に上がる仕組みだったのです。さらにその制御棒すらも途中で引っかかり先端部分しか入らない状態となってしまい、そのため制御棒を入れた瞬間原子炉が水蒸気爆発。原子炉は停止しついに爆発事故が起こったのでした。