ガウディ没後に建設された「受難のファサード」
夕日が当たる西側には、ガウディの死後、彼の弟子や理解者たちによって築かれた「受難のファサード」があります。生誕のファサードより数メートルずつ高い4本の塔は、同じようにヤングコーンのような形をしていますが、装飾は控えめでスッキリとした印象。入り口部分も彫刻より石の滑らかさが強調され、まるで大きな岩山を見上げているかのようです。
「生誕のファサード」「受難のファサード」ともに、塔の中腹あたりまでエレベーターが通っていてのぼることができます。中央の塔の建築が始まったこともあり、周囲の景色を見渡すには視界が限られていますが、石の質感や壁面の様子を間近で見ることができるので一見の価値ありです。
全体を見渡したいなら「サグラダ・ファミリア広場」へ
塔の高さ100m余と数字だけ聞くと「あれ、そんなもんなのか、大して高くないな」と思う人もいるかもしれません。確かに現代では、100mの高さの建物など珍しくもありませんが、サグラダ・ファミリアは別格。真下に立つと、その大きさに圧倒されます。周囲に高い建物がないせいもあって、ひときわ大きく見えるのです。間近に立って見上げてしまうと、建物の全体を感じることが難しくなってしまいます。
そこでおすすめなのが、サグラダ・ファミリア西側の通りを挟んで向かいにあるサグラダ・ファミリア広場 。緑豊かで涼やかな公園です。
園内にはゆったりとくつろげるようベンチや売店が点在しています。ふと振り返ると、木々の向こうに「受難のファサード」が。教会全体を見渡すことができるため、建物の美しさ・荘厳さを改めて実感することができます。
巡ってみたい!そのほかの「アントニ・ガウディの作品群」
サグラダ・ファミリアは単体で世界遺産になったわけではなく、「アントニ・ガウディの作品群」という名称で、ガウディの他の建築作品とともに登録されています。
ガウディはバルセロナで建築を学んだのだそうです。その縁もあって、バルセロナ周辺にはガウディの建築作品が多数残っています。そのうちの「グエル公園」「カサ・ミラ」「グエル邸」の3つが、1984年に世界遺産に登録されました。
その後、2005年に登録範囲が拡張され「カサ・ビセンス」「カサ・バトリョ」「サグラダ・ファミリア」「コロニア・グエル教会地下聖堂」の4つを追加。計7つの建造物が世界遺産に名を連ねています。登録名称もこのとき「バルセロナのグエル公園、グエル邸、カサ・ミラ」から「アントニ・ガウディの作品群」に変更されました。
コロニア・グエル教会はバルセロナ市街地中心部から少し離れていますが、その他の建築作品は市内にあるため、サグラダ・ファミリアとあわせて巡ることが可能です。特に「グエル邸」は若いころの作品で、ガウディの後援者であった大富豪・エウゼビ・グエル氏の邸宅。この人がいなかったらガウディの才能が開花することはなかったのかもしれません。それほど大きな建物ではありませんが、細部に至るまで天才のこだわりが詰まった贅沢な空間が広がっています。ガウディの建築に興味があるなら必見です。
見てみたい!また行きたい!日々変化する巨塔「サグラダ・ファミリア」
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多くの人々の思いや熱意が詰まった美しい教会は、スペイン一の観光名所にもなっています。工事は現在でも続いており、いよいよ中央塔の建設が始まって、日ごとに様相は変化していきそうです。中央塔はおよそ140mほどの高さまで建設された後、その上に大きな十字架が取り付けられる計画なのだとか。一体どんな協会になるのでしょうか。訪れるたびに違う表情を見せてくれそうです。