「中国文明」は黄河だけじゃなかった!
中国では、長江流域にも独自の文明が発展していたことがわかってきました。長江流域では古くから稲作が行われ、日本など各地へ伝えられたという説が有力です。これまで中国文化は黄河文明から生まれて、南部の長江流域へと広がっていったと考えられていましたが、「長江文明」というものがあるようなのですね。そこで最近の教科書では、両者をまとめて「中国文明」と書かれていたりします。さらに最近では、中国東北部に「遼河(りょうが)文明」という後の中国文明にも強い影響を与えたと思われる文明があったことが明らかになってきました。
この他にもメキシコを中心とした「メソアメリカ文明」があり、巨大なピラミッドが築かれています。また南米の「アンデス文明」では青銅器を使っていましたが、文字を持たず、縄の結び目で情報を記録していました。なんと脳外科手術をしていたほど高度な文明を持つのに、車輪を発明していなかったという、これもまたミステリアスな文明です。これらを含めると、「世界六大文明」ということになるわけですね。
世界には20以上の古代文明があった!?
「世界四大文明」というと、この4つが人類の文明の源で、ここから世界各地へ文明が広がっていったという印象を持つかもしれません。もちろん、メソポタミア、エジプト、インダス、黄河が早い時期から高度な文明を築き上げていたことは間違いないです。また、これらの文明が他の地域にとても大きな影響を与えたことも確かでしょう。
しかし、人類の文明はこれだけではなかったわけで、古代ギリシアには「エーゲ文明」がありましたし、その他の地域にも「文明」があった可能性はあります。世界には20以上もの古代文明があったという学者もいるぐらいです。数え方はともかく、近年の発掘によって多くの遺跡が発見され、これからもさらに増えていくことは間違いないでしょう。
そもそもこの「文明」という考え方自体、ヨーロッパ中心の歴史観から生まれたものとも言えます。つまり、メソポタミア・エジプトの「オリエント文明」がギリシア文明へと受け継がれ、ローマ地中海文明から西ヨーロッパ文明へと発展したというわけです。だからオリエントは「文明のゆりかご」とも言われました。しかし、これでは他地域がまるで視野に入っていないので、現在ではこういうヨーロッパ中心の歴史観は有効ではありません。
こうなると、「人類にとって文明とは何なのか」とか「文明と未開を分ける意味はどこにあるのか」とかいう面倒な話にもなってきます。しかし、それはさすがに今回のテーマから脱線しすぎですので、この辺で終えることにしましょう。
知れば知るほど面白い古代文明のミステリー
古代文明はまだわかっていないことが多く、謎を探るミステリーのような楽しみがあります。また、意外と現代の私たちの生活とつながっている部分もあったりするのも文明論の面白いところです。古代の遺跡や史料から、古代の人々がどんな暮らしをしていたのか想像してみるのも楽しいと思います。