日本の歴史

月の和名をご紹介~由来と異名を知って日本の心を感じよう~

#7 【文月】七夕に織姫と彦星が出会うことからついた異名はロマンチック

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7月は文月(ふみづき・ふづき)

文披月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)」から文月になったと言われています。「文」は「ふみ」と読み、手紙や文書などを表していました。それを「開く」ということですが、これは七夕の日に、詩歌を詠んだり、書物を夜風に当てる風習からきているというのが定説です。他にも皐月、水無月から続き、田んぼに植えた稲が分げつし、出穂する時期のため、「穂含み月(ほふみづき)」や「含み月(ふくみづき)」に由来するという説もあるんですね。

異名には、七夕から連想される、たなばたづき(七夕月)・めであいづき(愛逢月)がありますが、愛逢月は、七夕に織姫と彦星が出会う月というなんともロマンチックな呼び名ですね。また、現在の7月下旬から9月上旬にあたる時期なので、りょうげつ(涼月)など、秋の訪れを感じる異名もあります。

#8 【葉月】葉が紅く染まって落ち、雁が来て燕が去る

8月は葉月(はづき)

現在の8月下旬から10月上旬にあたりますので、もう秋ですね。そのため、紅く染まった葉が落ちる「葉落ち月(はおちづき)」が由来とされています。その他にもいくつか説があり、「穂張り月(ほはりづき)」というものも。皐月から続いている稲に関わる説なので、もうお分かりですね。稲穂が張る時期からきています。

異名には、雁が越冬のために日本にやってくるという意味の、かりきづき(雁来月)。一方、燕は南方に帰っていくため、つばめさりづき(燕去月)などがあります。昔の人々は、自然や鳥などをよく観察していたことがわかりますよね。

#9 【長月】夏が終わってやってきた秋の夜は長い

9月は長月(ながつき)

現在の9月下旬から11月上旬。秋の夜長と言われるように、夜がとても長く感じられる時期ですね。そこで語源は、「夜長月(よながつき)」と言われています。それが省略されて「長月」ですね。この説が有力とされているのですが、その他、稲関連の由来としては、「稲刈月(いねかりづき)」が挙げられます。天候では、雨が多く降ることから「長雨月(ながめづき)」を元とする説も。

9月には、もみじづき(紅葉月)・きくづき(菊月)・いろどりづき(彩月)などの異名があり、秋の植物や葉の色づく様子を表したものとなっていますね。

#10 【神無月】出雲の国に全国の神様が集まる説は俗説?

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10月は神無月(かんなづき)

10月は、現在の島根県である出雲の国に全国の神様が集まることから、神々がいなくなると考えられ、「神無月」と言われていますが、実はこれは中世からの俗説。6月の水無月と同じように、「無」は助詞の「の」であり、「神の月」が由来という説があります。語源は諸説あるのですが、稲の関連で考えれば、「神嘗月(かんなめづき)」が由来と考えてもいいかもしれません。「新嘗祭(にいなめさい)」と呼ばれる作物の収穫をお祝いする行事があるのですが、ちょうどこれにあたる時期なんですね。また、「醸成月(かみなしづき)」という新米でお酒を造る月という由来も、近いかもしれませんね。

異名には、神に関連した、かみありづき(神在月)・かみさりづき(神去月)。また、自然からは、初霜が降りる時期として、はつしもつき(初霜月)があります。

#11 【霜月】霜が降り、雪を待つ冬の時期

11月は霜月(しもつき)

漢字を見た通り、「霜が降る月」というのが定説ですね。現在の11月下旬から1月上旬にあたります。その他の説として、「食物月(おしものつき)」に由来するというものも。10月の章で、「新嘗祭」のお話を少ししましたが、11月は新嘗祭などの収穫をお祝いする行事で食べることが多かったんですね。そこで「食物月」と言われたとも。

異名には、しもふりづき(霜降月)・しもみづき(霜見月)・ゆきまちづき(雪待月)などがあり、どれも冬を感じさせるものが並びます。

#12 【師走】師が走るくらい忙しいも俗説?

さて、最後となる12月は師走(しわす)

「師」とは僧侶のことを指し、「僧侶もお経をあげるために、走り回るぐらい忙しい」から来ているとされますが、これもなんと俗説。宛て字とされています。語源ははっきりとせず、「歳極(としはつ)」という1年の終わりという言葉から来ているという説があるんですね。それと似たものとしては、春夏秋冬の四季が終わるという意味の「四極(しはつ)」も挙げられます。農事関連では、「万事為果(ばんじしはつ)」という農事をすべて終えたというものも。いずれにしても、一年の終わりを示すものですよね。

異名には、ごくげつ(極月)・ひょうげつ(氷月)・はるまちつき(春待月)など。春待月は、あたたかい春を待つ気持ちが伝わってくる異名ですね。

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みほこ