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原作にしかない悲劇と救い、アンデルセン「人魚姫」の真実

破れた恋、結婚式、そして泡に……

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さて、王子様は本命の彼女を見つけ、めでたく結婚式とあいなります。船の上で華々しく開かれた結婚式には人魚姫の姿もありました。正式な結婚の誓いが行われます。激痛をともなう足、なくした声、そして恋もやぶれて人魚姫は朝が来れば泡にならなければならなかったのです。そこにあらわれたのは、人魚姫の5人のお姉さんたちでした。

姉たちは魔女からもらった短剣を人魚姫に差し出します。これで王子の心臓を突いて、その血で足をひたせばふたたび人魚に戻れるというのです。自分の心をうらぎった恋人の命をとって、ふたたび海の底へ帰るか……。しかし人魚姫は王子を刺すことができませんでした。朝日がのぼるのと同時に海に身をおどらせ、はかない泡になったのです。彼女の意識はしかし、なくなりません。

人魚姫が救われるために、世界中の子どもができること

ここから先は、アンデルセンの原作を読んだ人しか知らない物語。泡になった人魚姫に語りかけてきたのは〈大空のむすめ〉でした。人魚姫は自分がどこにいるのか、ふしぎがります。すると〈大空のむすめ〉はこう語りかけました。

「人魚のむすめに死なないたましいはありません。大空のむすめたちもながく生きるたましいを持たないかわり、じぶんでそれをもつこともできるのです。(中略)あと三百年、よい行いのちからで、やがて死ぬことのないたましいがさずかることになるでしょう。」(「人魚のひいさま」楠山正雄 訳)

人魚姫は目に見えない風になって、子どもたちのいるところにどこでもただよっています。よい子を見て人魚姫がほほえんだとき、魂を得るために必要な300年が1年減り、悪い子を見て涙をながせば、1日だけその時が長くなる――そう大空のむすめは語りました。原作はこのなぐさめの会話で幕を閉じるのです。

純粋な人魚姫のたましいは、いまもどこかに

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なかなか知ることのない「人魚姫」の原作の世界、目からウロコだったのでは?各翻訳で読むことができるので、未読の方はぜひ手にとってみてください。さすが「童話作家」アンデルセン。子どもにむけての教訓までバッチリ。大人になっても心にしみる不朽の物語です。

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