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「環境ホルモン」って何だろう?人体に危険を及ぼす物質にはご注意を!

「環境ホルモン」って何だか聞き慣れない言葉ですよね。「環境に影響を与えるホルモン?」それとも「周りの環境が人間のホルモンに与える影響?」考えれば考えるほどややこしくなっていきそうです。実は「環境ホルモン」とは「人間のホルモンに悪影響を及ぼすホルモンの性質によく似た危険物質」のことで、知らず知らずのうちに体内に取り込まれていくかも知れないのです。環境ホルモンが人体に及ぼす悪影響について詳しく解説してみたいと思います。

そもそも「ホルモン」とはどういった物質?

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一口にホルモンといっても意味は様々。簡単に画像検索してみても「美味しそうな焼肉」の写真や、「マッチョな男性」の写真しか出てきません。それもそのはず、ホルモンという物質はあまり可視化できないものなのです。まずはホルモンがどのように分泌され、どのように人体に作用するのか?詳しく解説していきましょう。

ホルモンの定義とは?

簡単に言えば、体内からホルモンが分泌されないと人間は生きてはいけません。それほど重要な物質なのです。

体の中にある特定の細胞からホルモンを分泌させ、細胞間で情報伝達し、代謝、成長、生殖など体の機能を調節するシステムのことを【内分泌系】と呼びます。

例えば気温が下がった時に体温が一定に調節されるのも内分泌系の働きですし、男女の第二次性徴を促進させるのも内分泌系から分泌される【男性・女性ホルモン】のおかげなのです。

ちなみに性同一障害の場合、「心の性と体の性が食い違った状態」となるのですが、ホルモン療法(本来の性別とは逆の性ホルモンを投与する)を行うことによって性別違和感を改善し、第二次性徴の一部を性自認に一致させようとする試みが多く見受けられます。

性別は男性でも心の性が女性だった場合、ホルモン療法によって「丸みを帯びた体つきになり、髭や体毛が薄くなる」ことによって違和感が軽減され、精神的な満足感が得られるということですね。

このように体の機能調節だけでなく、心身のバランスに深い意味を持つ物質がホルモンだといえるでしょう。

ホルモンはどのように作られ、どんな作用がある?

ホルモンの持つ役割によって作られる場所も異なります。体の機能に比例して様々なホルモンが分泌されているのです。主な場所とその作用について解説していきましょう。

頭部の真ん中にある脳下垂体は小指ほどの大きさほどしかありませんが、ここでは様々なホルモンが作られていますね。

 

※脳下垂体で作られる主なホルモン

体の成長を促進させる【成長ホルモン】

血糖値や血圧の上昇を司る【副腎皮質刺激ホルモン】

水の吸収を促進させる【抗利尿ホルモン】

分娩を促進させる【子宮収縮ホルモン】

 

また甲状腺は喉頭と器官の境目にある重要な器官です。ここから作られるホルモンが多すぎるとバセドウ病になり、少なすぎると体にむくみなどが現れます。

 

※甲状腺で作られるホルモン

全身の細胞の働きを活発にし成長を促す【甲状腺ホルモン】

 

膵臓(すいぞう)内のランゲルハンス島は、面白い名前ですが実はホルモンを作る細胞の集合体なのです。ここの機能が低下してしまうと糖尿病などの疾患が起きやすくなります。

 

※ランゲルハンス島で作られるホルモン

血糖値を上げる作用を持つ【グルカゴン】

血糖値を下げる作用を持つ【インスリン】

 

病気や加齢などにより、これらホルモンの分泌が少なくなると「肩こり」「激しい動悸」「多汗」「頭痛」「精神的に不安定」などの症状が現われやすくなりますから要注意。

そういった場合、不足しているホルモンを特定し、速やかに薬などを投与して症状を抑える必要性があるのです。

ホルモンはなぜ特定の細胞にだけ作用するのか?

例えばランゲルハンス島で作られたインスリン(血糖値を下げる働きがある)筋肉細胞にしか作用しませんし、副甲状腺から分泌されるパラトルモン(血中のカルシウム濃度を上昇させる)骨・腎臓・腸にしか作用しません。

ホルモンは血液とともに全身へ運ばれますが、なぜ都合よく特定の細胞にだけ作用するのでしょう。その鍵はまさに「鍵」にあるのです。

実は細胞ごとに【受容体】という器官が備わっているからですね。ホルモンと受容体は、型が合致しないと働くことができません。いわば「鍵と鍵穴」のような関係になっています。ホルモンが作用できる細胞は決まっているため、血流に乗って全身へ運ばれても、ホルモンは特定の細胞だけにしか作用しません。そういった秘密があったからなのです。

「環境ホルモン」とはいったいどんな物質?

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まずはホルモンという物質が、人間の体に対してどのような働きを持つのか?理解して頂く必要がありました。それを踏まえた上で環境ホルモンとはいったい何なのか?を詳しく解説していきましょう。

書籍とメディアが大きく取り上げたことで話題になった「環境ホルモン」

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1997年、アメリカのシーア・コルボーン博士らが出版した書籍「Our Stolen Future(奪われし未来)」によってまずアメリカで大きく話題になりました。当時のゴア副大統領が序文を上梓したことでメディアに取り上げられ、一大センセーショナルを巻き起こしたのです。

翌年には日本でも翻訳版が出版され、NHKで特集番組が組まれたことで国内でも話題になりました。書籍の内容じたい非常に危機感を募らせるもので、「環境ホルモン騒動」に乗せられた新聞やテレビなどのメディアがこぞってそれに拍車を掛けていきました。

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「環境ホルモン」とは内分泌かく乱物質のこと

環境ホルモンとは別名「内分泌かく乱物質」といわれています。こちらのネーミングの方がその性質を如実に表しているともいえるでしょう。

簡単に言えば、環境中に放出された化学物質が生体に取り込まれ、まるで本来のホルモンと同様に作用して特定の細胞に働いてしまうということ。

先ほど「鍵と鍵穴」の話をしましたが、この内分泌かく乱物質が鍵となり、特定細胞の受容体(鍵穴)と合致してあり得ない有害な作用を引き起こしてしまうということなのです。

人間への影響に関してはまだ研究途中ではっきりしたことは言えないのですが、野生動物(魚類や鳥類、爬虫類など)に関していうと生殖機能異常、生殖行動異常、ふ化能力の低下などが報告されています。

しかしながら人間に対する明確な害が報告されなかったため、環境ホルモン騒動は現在は沈静化していますね。とはいえ研究は続いていて、完全にリスクがないとは言い切れない状況にあるのは確かでしょう。

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明石則実